2014 Fiscal Year Annual Research Report
アジア人における皮膚の機能的形質および細菌叢に関する遺伝人類学研究
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26291095
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木村 亮介 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00453712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 順 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80301141)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細菌叢 / 皮膚 / 多様性 / ヒト / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
集団遺伝学的探索によって、アジア特異的に働いた強い自然選択の痕跡が、ABCC11およびEDARの非同義変異に見出されている。これらの変異は共に汗腺機能との関連が示されていることから、アジア特異的な気候、あるいは、アジアで過去に流行した皮膚感染症などへの適応である可能性が想起される。本研究では、ABCC11とEDARにみられるアジア特異的な変異の利点を知るため、遺伝子型と皮膚形質の個体差との関連を明らかにした上で、更に、それらの条件と皮膚における細菌叢との関連を解き明かすことを目的とする。多検体を用いて皮膚細菌叢と宿主の遺伝要因との関連を解析した研究は未だ少なく、皮膚細菌叢の個体差・集団差を理解する上で本研究は意義がある。 本年度は当初の予定を変更し、データおよびサンプル取得方法の整備および皮膚細菌叢のメタ16S解析の系の確立を主に行った。約20名を対象に、顔面および腕の様々な箇所でマルチ皮膚計測値を用いた計測(水分量、水分蒸散量、皮脂量、pH)、ポルフィリン発光の密度計測などを行い、迅速かつ安定した計測方法を確立した。また、額、鼻、腕、腋、胸、趾など様々な部位から細菌叢サンプルを採取した。 メタ16S解析のために、イルミナ社の小型次世代シーケンサMiSeqを用いた系の確立を行った。ここでは、少量のサンプルDNAも解析できるようNested PCRを行って、最終的に2種類のアンプリコンができるよう16S rRNA配列内にプライマーを設計した。この系を用いて、同一サンプルの再現性、部位ごとの細菌叢の多様性を検証し、今後のサンプリングおよび実験計画を練り直した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大規模なサンプリングを行う前に、安定した実験系を確立する必要性を感じたため、当初の予定を変更し、データおよびサンプルの収集を次年度に行う予定である。MiSeqを用いたメタ16S解析の系を構築するとともに、事前に様々な問題点を洗い出すことができたので、結果的には「急がば廻れ」になったのではないかと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
本格的なデータおよびサンプルの収集を行う。メタ16S解析による細菌叢の解析のほか、宿主つまりヒト側の遺伝子(ABCC11, EDAR, FLG, HLAs, KRTs)の解析も進める。具体的には以下の通りである。 【データおよび試料の収集】関東地方および沖縄でボランティアを募り、データおよび試料の収集を行う。ヒト由来DNA調整のために血液あるいは唾液を採取する。質問票において、年齢・出身地の他、皮膚疾患および内臓疾患の罹患歴、普段使用している石鹸や化粧品についての調査を行う。皮膚の形質データとして、マルチ皮膚計測器を用いて水分量、水分蒸散量、皮脂量、pH(腕・額)、皮膚画像装置を用いて、シミ、肌のキメ、毛穴、色ムラ(顔・腕)、シワ、ニキビの原因Propionibacteria acnesの代謝物であるポルフィリン(顔)、汗腺数(腕および手掌)、体毛の密度・太さ(腕)、分光測色計を用いて皮膚色(腕および額)、キャリパーを用いて皮下脂肪量(腕)を計測する。水分量、水分蒸散量、皮脂量、pHを計測する。 【ヒト皮膚機能関連遺伝子多型における遺伝子型の決定】解析する皮膚機能関連遺伝子多型として、ABCC11およびEDARにおける非同義多型の他、メラニン色素、ケラチン、フィラグリンの合成などに関わる皮膚機能関連遺伝子の多型およびHLA、TLR、IL遺伝子群など免疫関連遺伝子の多型を含む数十個の多型を予定している。 【皮膚細菌叢のメタ16S解析】皮膚細菌叢の16S rRNA遺伝子のシーケンス解析(メタ16S解析)を行う。試料を懸濁したDNA抽出用試薬からDNAを調製し、16S rRNA遺伝子を増幅するためのユニバーサルプライマーを用いてPCRを行う。PCRアンプリコンには、ライゲーション反応にてアダプターを付加して、次世代シーケンサを用いて解析する。
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[Journal Article] Genome-Wide SNP Analysis Reveals Population Structure and Demographic History of the Ryukyu Islanders in the Southern Part of the Japanese Archipelago2014
Author(s)
Sato T, Nakagome S, Watanabe C, Yamaguchi K, Kawaguchi A, Koganebuchi K, Haneji K, Yamaguchi T, Hanihara T, Yamamoto K, Ishida H, Mano S, Kimura R, Oota H
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Journal Title
Molecular Biology and Evolution
Volume: 31
Pages: 2929-2940
DOI
Peer Reviewed
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