2014 Fiscal Year Annual Research Report
キク属植物におけるカロテノイド酸化開裂酵素遺伝子CCD4の多様性の解析
Project/Area Number |
26292014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 道夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80355718)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 園芸ゲノム科学 / バイオインフォマティックス / キク / カロテノイド / 遺伝子 / 系統進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではキクの育種改良のための基礎的知見を得ることを目的として、キク属栽培種および野生種におけるCCD4遺伝子の多様性を解析した。農研機構花き研究所に保存されている日本産キク属野生種12種19系統について、キク品種‘神馬’の6種類のCCD4ホモログにおいて保存されている領域をPCRのプライマーとしてCCD4配列を単離し解析した結果、10種17系統から1系統あたり2~6種類、合計48種類のCCD4ホモログが単離できた。ほとんどの個体内、種内、種間において94%以上の高い配列類似性が認められた。また、スプレーギク13品種について同様の解析を行った結果、品種‘神馬’や他の品種と100%一致する塩基配列が合計12種類見いだされた。なお、これらのCCD4ホモログには互いに91%以上の高い配列類似性が認められた。一方、農研機構花き研究所に収集保存されている舌状花をもたないキク属野生種であるイソギクおよびシオギク約50系統につき、先行研究で使用されたプライマーによりCCD4遺伝子の有無を解析したところ、増幅が不安定であった。プライマーを再設計して再度解析を行ったが、シオギクではすべて、イソギクでも数系統を除きほとんどでCCD4遺伝子断片が増幅された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において、CCD4ホモログの配列解析については、園芸品種で毎年10品種以上、野生種で毎年10系統以上を目標としていたが、26年度、園芸品種で13品種、野生種で17系統について解析ができた。これは計画以上の達成状況である。一方、無舌状花野生種におけるPCR法によるCCD4遺伝子の有無の解析については、農研機構花き研究所の収集保存系統の予備的な解析を行い、その後に収集場所を最終選定する予定としていたが、先行研究における解析手法がそのまま適用できない問題が生じたことから、自生地における収集を見合わせるなどやや遅れている。但し、次年度以降にCCD4遺伝子の有無の検出方法が確立できれば、この遅れは十分に解消できる見込みであり、全体として順調な進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
無舌状花キク属野生種におけるCCD4遺伝子の多様性については、既報でもイソギクのみでシオギクでの報告はない。シオギクについてはCCD4遺伝子の多様性がない可能性も想定される。既報での結果によりイソギクでは多様性の存在が見込めることから、27年度はイソギクにおける検討を中心に進めていく。また、CCD4の配列類似性について、園芸品種においては100%一致するものが多数見いだせたものの、野生種については94%以上と比較的高い配列類似性があるものの非常に多数のホモログの存在が推定された。まず、二倍体野生種で実際に発現しているホモログを明らかにし、比較検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
無舌状花キク属植物の自生地における収集を本年見合わせたことおよびCCD4遺伝子ホモログの配列解析のための実験に手間取り2月末までに発注ができなかったことが原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は静岡県におけるイソギクの収集を行う計画であることおよび27年度に入り次第、シーケンス解析の発注を行うことで未使用額の使用は問題なく執行可能である。
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