2015 Fiscal Year Annual Research Report
変動環境下でのバラ群落の炭素収支計測に基づく整枝および環境管理の最適化理論の構築
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26292016
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
土井 元章 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40164090)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 丹十郎 岡山大学, その他の研究科, 教授 (40195938)
稲本 勝彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, その他 (50223235)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 園芸科学 / バラ / シミュレーションモデル / 施設環境調節 / 整枝管理 / 炭素収支 / 転流 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
花卉生産群落の整枝管理および施設環境管理の最適化理論の構築を目指して，バラ切り花の生産群落における炭素の獲得と転流に関するシミュレーションモデルの開発を行っている．
平成27年度はアーチング仕立てのバラ群落の折り曲げ枝のLAIを3.0に固定し，季節を変えて施設内の変動する温度および光条環境下での二酸化炭素の吸収速度を記録した．ただし，平成27年度の秋季の天候不順（曇天）ならびに例年にない暖冬のため，目的とする温度と光強度のデータが一部のステージで欠落することとなり，これを平成28年度の春季の計測で補った．結果，折り曲げ枝のみをもつ生産群落については18℃～42℃にわたって光合成のデータを得ることができた．これを温度と光強度によって再プロットし，ａ：暗呼吸速度，ｂ：光飽和点以下での傾き，ｃ：真の光合成速度，ｋ：凸度とする非直交双曲線に近似することで光ー光合成曲線を得た．
モデル構築については，システクダイナミクスモデル構築・シミュレーションソフトウエアであるExtendSimを採用し，まず1日の炭素獲得量をシミュレートするモデルの構築を行うことを決定した．また，最終的には二酸化炭素濃度や転流率のパラメータを取り込んで，開花時期や収量・品質を予測できるモデルとすることとし，そのモデル構造を検討した．
修正アーチング仕立てによる折り曲げ枝からの光合成産物の収穫枝への転流に関して，13CO2をフィーディングすることで検討した．折り曲げ枝からの転流率は品種や季節による差は小さく，おおむね50％前後となった．また，収穫枝が10cm頃の生育段階にある時点でフィードした場合には収穫枝に，開花時にフィードした場合には根とクラウンに多くの光合成産物が分配された．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度については，天候不順のため必要なデータを十分に得ることができなかったが，平成28年度に行った計測により，モデル構築に必要な広範囲の温度，光強度下での光合成速度データを得ることができ，それらの解析を通じてモデル構築に必要なパラメータを算出した．平成27年度の遅れはおおむね取り戻せている．
一方モデル構造についても，最終的に開花時期や収量・品質の予測に向け，まず1日の炭素獲得量をシミュレートし，これを到花日数分積算するシステムダイナミクスモデルの構造を決定した．平成28年の始めの段階で，1日の炭素獲得量をシミュレートするモデル構築が行われていない点で，やや遅れ気味である．
折り曲げ枝群落の光合成産物の転流割合がおおむね50％であることが明らかとなった．ただし，最終的に収穫枝へ転流する割合は時期によって異なることが予想され，定量的なデータ取得を目指し平成28年度はその検討を行うこととした．
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は，平成28年度はじめまでに得られた基礎データを利用して1日の炭素収支をシミュレートするモデルの構築を目指し，予測値と実測値を比較することでモデルの検証を行う．また，開花に関するデータを引き続き収集し，仕立て方や品種間差異を明らかにするとともに，炭素獲得量の積算期間としての到花日数を温度の関数として記述する．なお，ハイラック仕立てについては，開花の周期性は他の仕立て方と類似しているが，画像解析によるLAIの計測と光合成速度の計測が困難なため，ひとまず解析の対象からは外すこととして，アーチング仕立ておよび修正アーチング仕立てに焦点を絞る．光合成産物の収穫枝への転流率に関しては，フィーディング時期を変えて開花時点でどれだけの量が移行しているかを数量化する．
平成29年度は，二酸化炭素濃度を高めることに対する光合成への影響や収穫枝の光合成について，早急に基礎データをとりまとめる．炭素の転流については，定量的な値を確定する．これらのデータをモデルに反映させる．モデルの検証を行い，予測精度を高めるためのパラメータの設定値の修正を検討する．また，品種，湿度，LAI等の副次的影響，さらに生育ステージごとの収穫枝，折り曲げ枝，クラウン，根への分配に関する知見をシミュレーションモデルに取り込み，温度関数である到花日数から最終的な生育，収量・品質ならびに開花時期をシミュレート可能なモデルの完成を目指す．
制御可能な施設環境パラメータを変化させ，モデルによるシミュレーションを駆動することで，開花時期や収穫枝の炭素蓄積に及ぼす影響を考察する．
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| Causes of Carryover |
平成27年度終了時点で，天候不順のため予定していたデータ取得が十分でなかったため，その計測と解析に必要な経費として補助金を繰り越した．引き続き二酸化炭素濃度を変えた計測を助成金を活用して実施する予定であったが，この計測が平成28年度末にまでずれ込み，その費用として見込んでいた助成金に平成29年度使用額が生じた．また，システムダイナミクスモデルのシミュレーションソフトウエアの購入を平成29年度に持ち越した．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
二酸化炭素濃度を変えた光合成速度の計測に使用する．特にこれまで使用してきた赤外線ガスアナライザーについて補修が必要な時期に来ており，その経費にも充当する．加えて，現在使用しているシステムダイナミクスモデル構築・シミュレーション用ソフトウエアであるExtendSimからコンピュータのOSバージョンに合致したソフトウエアへの転換を図ることに使用する．
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Research Products
(1 results)
