2015 Fiscal Year Annual Research Report
リボソーム蛋白質L10を介した細菌細胞壁結合ポリアミンの合成制御の原子機構
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26292043
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
神尾 好是 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 名誉教授 (00109175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 淳 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30221188)
姚 閔 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (40311518)
児島 征司 東北大学, 学内共同利用施設等, 助教 (20745111)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Selenomonas ruminantium / ポリアミン含有ペプチドグリカン / リジン/オルニチン脱炭酸酵素 / ATP依存性プロテアーゼ / Clp系プロテアーゼ / 外膜主要たんぱく質・Mep45 / ポリアミン転移酵素 / リボソームタンパク質・L10 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Mep45 の機能解析:S. ruminantium 外膜主要タンパク質Mep45 は、ペリプラズム側に露出したN末端側SLHドメインとC末端側の外膜貫通領域の 2ドメインで形成されるが、今回、C末端側領域の機能解明及びSLHドメインにおけるペプチドグリカン(PG) 結合部位の同定を行った。精製 Mep45をリポソームに再構成して機能解析した結果、C末端側領域はチャネルの推定孔サイズ0.58 nmの拡散チャネルを形成することが判明した。SLHドメインのPG 結合部位については、PGへの結合力が弱い他細菌種の SLH ドメインとのアミノ酸配列比較を行い、Mep45 の SLHドメインのみが保持するアミノ酸残基を割り出し、これらに点変異を導入して PG 結合力の変化を解析した。その結果、43RYE45 の領域に変異(アラニン置換)を導入すると結合力が低下することを見出した。以上の結果をBiosci. Biochem. Biotechnol.に報告した(印刷中)。 2.L10の特性解析:LDCの発現プラスミドをもとにLDCの二量体化形成不能変異体(G350D)およびそのC-末端のValをAlaに変換したG350D/V393A変異体の大腸菌発現系を取得した。上記のLDC及びLDC変異体を基質として、ClpX、ClpP、L10およびATP存在下での分解を検討した。今回はClpXを精製せず大腸菌ライゼートを用いてLDCの分解活性を調べた結果、分子量が約1000減少する分解物が観察された。 3. リコンビナントLDT(rLDT)の生化学的及び構造化学的特性の解明:S. ruminantiumにおいては、PGへのポリアミン転移酵素LDT遺伝子(orf2750)はorf2751, および2749とオペロンを形成している。それぞれを単独でpET15bまたはpET22Bに組み込み、大腸菌BL21(DE3)株に導入し、十分量の可溶性orf2750とorf2751を発現させた。orf2749は不要性画分に存在した。精製rLdtと大腸菌細胞膜およびリピド中間体合成のための基質からなる再構成系でポリアミン転移活性が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.Mep45 パラログの発現制御・機能解析:先に報告したS. ruminantium のゲノムには Mep45 のパラログ遺伝子が 5 つ(同一性は各遺伝子間で 40 ~ 60%)存在するが、それぞれC末端側領域のアミノ酸配列や等電点に明確な違いがあるため、本菌は特性の異なるチャネルの発現制御を通じて外膜の透過性をコントロールしている可能性があるが本証明には至っていない。 2.L10の特性解析:LDCおよびLDC変異体などの基質、及びClpPについては高発現系を確立できた。しかし、ClpXの発現量が低いことから、十分な活性が測定できずL10の特性解明には至っていない。 3.rLdt の特性解析:試験管内カダベリン転移反応系で酵素活性が弱く、生化学的特性解明への大きな障害となっている。本課題を解決すべく、Ldt 遺伝子 (orf2750) とオペロンを形成する orf2751 がコードする蛋白質を大腸菌にて発現・精製し、カダベリン転移反応系に添加する等、各方策を検討したが、現時点で十分な解決には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Mep45 におけるSLHドメインの43RYE45 の周辺領域のアラニンスキャンを行い、PG 結合部位を確定させる。また、精製 PG と SLH ドメインとの 結合定数の決定を、Biacore もしくは 試験管内 PG 結合実験系を用いて行う。 2.Mep45 パラログの発現制御・機能解析:上記理由1の可能性を検討するため、各パラログのチャネル特性解明と発現制御機構の解明を目指す。 3.上記理由2で述べたClpXの発現を向上させるため、N末端にGSTやPelBシグナル配列などを付加できる発現プラスミドをin fusionクローニングにより構築し、発現量及び可溶性画分への移行の向上を検討する。また、精製用のタグを付加することにより、発現量が低くても濃縮できるシステムを試みる。ゲノムデータより新たなClpX/PアナログとしてHslV/U系をコードすると推定される遺伝子を見いだした。こちらも同様に発現系を構築し、L10が関与する分解活性に関わる可能性を検討する。 ④ rLdt のカダベリン転移反応系の改良を引き続き行う。反応条件の検討・改良の他、大腸菌に ldt 遺伝子(および orf2751)を発現させ、大腸菌生菌体内においてカダベリン転移反応の検出が可能かを実験検討する。
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Causes of Carryover |
S. ruminanium生育定常期におけるL10の細胞質への誘導出現現象の解析並びにカダベリン転移酵素の発現実験、L10依存性LDC分解機構の解明実験が予想以上に困難で、再検討が次年度以降に延期されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
S. ruminanium生育定常期におけるL10の細胞質への誘導出現現象の解析並びにカダベリン転移酵素の発現実験、L10依存性LDC分解機構の解明実験に使用するラジオアイソトープ標識カダベリン並びにこれらの実験を遂行するにあたっての実験補助員の人件費の一部に充てる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Complete genome sequence of Selenomonas ruminantium subsp. lactilytica will accelerate further understanding of the nature of the class Negativicutes2015
Author(s)
J. Kaneko, S. Yamada-Narita, N. Abe, T. Onodera, E. Kan, S. Kojima, T. Miyazaki, Y. Yamamoto, A. Oguchi, A. Ankai, N. Ichikawa, H. Nakazawa, S. Fukui, M.Takahashi, S. Yamazaki, N. Fujita, Y. Kamio
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Journal Title
FEMS Microbial Letters
Volume: 362
Pages: fnv050
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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