2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規生合成中間体の構造に基づくテトロドトキシンとサキシトキシンの生合成経路の解明
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26292057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 まり 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50192430)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テトロドトキシン / サキシトキシン / 生合成 / グアニジン / LC-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)テトロドトキシン(TTX)の生合成研究: TTXを有するイモリより、C10-C5が直接結合したTTX類縁体である4,9-anhydro-5-deoxy-10-hemikecalTTXと4,9-anhydro-8-epi-10-hemiketal-5,6,11-trideoxyTTXを発見し、単離、構造決定した。これらの化合物の構造は、これまでの予測TTX生合成経路に反していた。特に、前者はBaeyer-Villiger monooxygenaseで1段階で4,9-anhydroTTXに変換できると考えられた。また、後者は、C10-C5結合が開裂することにより、4,9-anhydro-8-epi-5,6,11-trideoxyTTXへ変換されると考えられた。また、これらのC10-C5結合を有するTTX類縁体の構造から、モノテルペン由来であると推定された。今のところこれらの化合物は、海洋生物からは検出されていないので、海洋生物のTTXはイモリとは別の生合成経路で合成されるのか、あるいは中間体が蓄積しない可能性が考えられ、関連物の探索を今後継続する。 (2)サキシトキシン(STX)の生合成研究: Neilanらが有毒藍藻の遺伝子よりSTXの生合成経路を推定したが、化学的に中間体の構造を十分に証明していなかった。我々はこれまで、STXの初期生合成中間体Int-A’,Int-C2’を化学合成して、HPLC-HR-MSを用いて有毒藍藻および渦鞭毛藻類に存在することを初めて明らかにした。また、本研究ではさらに、Int-C2’を化学合成した時にPd/C存在下でoxidative cyclizationが進行してSTXに類似した三環性のbisguanidine化合物(cyclic C’)が生成することを明らかにした。また、この化合物が有毒藍藻および有毒渦鞭毛藻類にも存在することをHPLC-HR-MS/MSで証明した。このことから、本環化反応を触媒する酵素がこれらの生物に存在する可能性が示めされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テトロドトキシン生合成においては、これまでの予測生合成経路を覆す類縁体をイモリより発見して構造を決定し、新しい予測生合成経路を提案した。また、この内容についての論文をAngewandte Chemie International Editionに掲載することができた。サキシトキシンの生合成研究においても、遺伝子から予測された初期生合成中間体を2種を合成して、有毒藍藻と渦鞭毛藻中に存在することを初めて証明した。さらに、化学合成でSTXと関連する3環性のbisguanidine化合物が得られ、その化合物がこれらの微少生物にも存在することを証明でき、それに関する論文2報目も受理された。このことから順調に研究が進行したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
テトロドトキシン生合成については、新しく提案した生合成経路を裏付ける関連化合物をさらにイモリ中より探索し、単離、構造決定して本経路について検証する。また、鍵となる酵素反応について、様々な生物を用いて変換反応を試みる。変換が検出された場合には、関連の酵素、遺伝子を追求する。さらに、海洋生物からも類似化合物を見つけるために探索を続ける。サキシトキシンの生合成においては、これまで化学合成法を確立した生合成中間体の安定同位元素ラベル体を調製し、これらの取り込み実験を行なうことにより、より詳細な生合成経路の証明を行なう。また、未知の生合成中間体も得られているので、さらに構造の証明を行ない、生合成経路解明に役立てる。
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Causes of Carryover |
本年度は、丁寧に使用したせいか質量分析器の故障は殆どなく、修理費がかからなかった。しかし、次年度に不具合が起こる可能性が高いので、次年度に繰り越し、修理に備えることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質量分析器に不具合が生じた場合に、調整や修理に使用する。また、その他の小型装置についても不具合が起きた場合に修理、更新を行なうために使用する。
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Research Products
(29 results)
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[Journal Article] A High-Throughput Screen for Inhibitors of the Prolyl Isomerase, Pin1, Identifies a Seaweed Polyphenol that Reduces Adipose Cell Differentiation2014
Author(s)
Mori, Tadashi; HIDAKA, Masafumi; Ikuji, Hiroko; Yoshizawa, Ibuki; TOYOHARA, Haruhiko; Okuda, Toru; Uchida, Chiyoko; Asano, Tomoichiro; Yotsu-YAMASHITA, Mari; UCHIDA, Takafumi*
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Journal Title
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
Volume: 78
Pages: 832-838
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Analysis of polycavernoside A in the red alga Gracilaria edulis that caused previous fatal food poisonings in Guam and Philippines2014
Author(s)
○Mari Yotsu-Yamashita1, Kosuke Maeta1, Yuki Taya1, Eri Omizu1, Takahide Endo1, Yuko Cho1, Keiichi Konoki1, Mirriam A. Cayme2, Yasuo Fukuyo3, Sherwood Hall4, Takeshi Yasumoto5,
Organizer
The 16th International conference on Harmful Algae
Place of Presentation
Wellington, New Zealand
Year and Date
2014-10-27 – 2014-10-31
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