2014 Fiscal Year Annual Research Report
食品中機能性成分の動態解明を目指した代謝物の高度利用
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26292072
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
生城 真一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50244679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 佳恵子 近畿大学, 理工学部, 准教授 (40294681)
榊 利之 富山県立大学, 工学部, 教授 (70293909)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリフェノール / 抱合代謝物 / 酵母 / UDP-グルクロン酸転移酵素 / 硫酸基転移酵素 / メチル基転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1:高度利用を目指した食品中機能性成分代謝物の新規製造法の確立:本申請年度においてはこれまでに遺伝子組み換え酵母を用いた代謝物製造の基盤技術に基づき、体内動態解明に寄与できる高度利用を目指した新規製造法の確立を目的とした。新規UGT分子種としてヒト由来UGT2A1の発現酵母株を構築し、レスベラトロールなどのスチルベン系化合物の抱合体生産に効率的な系を得ることに成功した。また、サル由来UGT1A分子種についても10種の発現系を構築してポリフェノール類のグルクロン酸抱合体産生に有用であることを示した。ヒト由来メチル基転移酵素についても膜結合型及び可溶性型の2種の発現系を構築しメチル化フラボノイド産生を確認した。これら発現系によりヘテロな修飾を受けたフラボノイド抱合体産生のための発現系を構築し形質転換株を得ることに成功した。 課題2:腸肝循環を模倣した食品中機能性成分の体内動態解析系の構築:ヒト小腸モデルとして汎用されるCaco-2細胞とヒト肝臓モデルであるHepG2細胞を用い、ケルセチンとヘスペレチンの吸収代謝性の比較を行った。ヘスペレチンにおけるカテコール構造のメチル化修飾の影響を考察するためにメチル化ケルセチンであるイソラムネチンも比較実験に用いた。その結果、いずれの細胞においてもケルセチン>イソラムネチン>ヘスペレチンの順に代謝が起こり易いことが示唆された。また、Caco-2/HepG2共培養系においては、ケルセチンのメチル化とヘスペレチンの抱合化が増強する一方、イソラムネチンではあまり影響がみられなかった。今年度はスチルベンであるレスベラトロールのCaco-2細胞における抱合代謝について調べた。さらに、腸内細菌代謝産物であるエクオールについて、腸肝循環で小腸に排出される抱合代謝物がどのように小腸で再吸収されるかを調べるための実験条件の確立を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1:高度利用を目指した食品中機能性成分代謝物の新規製造法の確立:これまでの発現系に加えて新規分子種の構築により、各種抱合体(グルクロン酸抱合、硫酸抱合、メチル化抱合)について当初の計画通り効率的な生産系を得ることに成功している。また、これら発現系の組み合わせによるヘテロ修飾フラボノイド生産系の構築も完了している。 課題2:腸肝循環を模倣した食品中機能性成分の体内動態解析系の構築:ヒト肝臓及び小腸モデルであるHepG2,Caco-2細胞を共培養することでフラボノイドの代謝吸収を解析することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1:高度利用を目指した食品中機能性成分代謝物の新規製造法の確立: 酵母菌体を用いた代謝物生産において、細胞外への抱合体の排出が律速となる場合が想定される。菌体内で生じた抱合体排出を促進するために、エネルギー依存的な能動輸送に関与するABCトランスポーター遺伝子を代謝酵素と同時に発現させた酵母株を構築する。前年度までに構築した代謝酵素発現株(CYP,UGT,SULT,COMT)を用いてマイクロウェルプレートでの反応系を構築することで、既知あるいは新規ポリフェノール類の代謝物解析をおこない網羅的な代謝プロファイルデータを作成する。 課題2:腸肝循環を模倣した食品中機能性成分の体内動態解析系の構築:初年度の再構成培養系を用いた動態解析の成果をふまえ、長期摂取により体内に蓄積しやすい代謝物(腸肝循環により何度も体内に吸収されるため)を同定し、蓄積しやすい標的臓器を明らかにする。フラボノイドの作用機序の1つとして、標的部位における脱抱合があげられる(アグリコンの方が抱合代謝物よりも抗酸化性等が強いため)。そこで、蓄積臓器における脱抱合反応の起こる可能性やどのようなときに脱抱合が起こるのかを明らかにする。このとき、合成された抱合部位の異なる代謝物あるいは抱合基の異なる代謝物を臓器ホモジネートとインキュベートすることで、脱抱合に対する感受性を解析することにより詳細な反応機構を明らかにできる。さらに、臓器細胞における吸収、排泄に関わるトランスポーターと合成代謝物との親和性をin vitroで解析することで同じアグリコンであっても代謝修飾により動態が異なるケースが生じるかを検証する。
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Causes of Carryover |
当初の目的である安定同位体試薬購入の予定であったが、発現系改良の必要に迫られて試薬購入を次年度での計画に変更したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分の一部と合わせて安定同位体(グルコース)購入について使用予定である。
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[Journal Article] Partial cloning of CYP2C23a genes and hepatic protein expression in eight representative avian species.2014
Author(s)
Watanabe KP, Kawai YK, Nakayama SM, Ikenaka Y, Mizukawa H, Takaesu N, Ito M, Ikushiro SI, Sakaki T, Ishizuka M.
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Journal Title
J Vet Pharmacol Ther.
Volume: 38
Pages: 190,195
DOI
Peer Reviewed
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