2016 Fiscal Year Annual Research Report
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26292124
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
大内 雅利 明治大学, 農学部, 教授 (60147915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 徹男 明治大学, 農学部, 教授 (60409498)
川手 督也 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80355263)
粕谷 美砂子 昭和女子大学, その他の研究科, 准教授 (80369446)
藤井 和佐 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90324954)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農村女性 / 女性政策 / 都道府県農政 / 農村女性起業 / 農村女性の社会参画 / 家族経営協定 / 農業女子プロジェクト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究実施計画にあげた3項目について実績概要を記す。 第1に長野県農村生活マイスターを対象としたアンケート調査である。これは生活マイスター約800名を対象に、7~9月にかけて行い、50%ほどの回収率であった。郵送回収のため、調査票の記入内容をチェックし、データを入力した。単純集計と記述式回答の整理は終了した。これによれば、マイスターの年齢は60歳代がほぼ半数を占め、家族人数は1~2人が30%、「実家は非農家」が30%で、マイスターの多様な実態が明らかになった。マイスターは農村女性の社会参画の過程において、地域のリーダーから市町村のリーダーへといたる媒介の段階と想定されている。しかし市町村レベルのリーダーとなるマイスターは必ずしも多くない。 第2に長野県内の新しい地域での調査である。これは高原レタスの産地である南佐久郡川上村でインタビュー調査を行った。川上村は、2015年農業センサスによれば、年間の農産物販売金額を3,000万円以上とする販売農家が45%、専業農家が70%を占める。しかし12名の農業委員のなかに女性農業委員は皆無で、農村女性の社会参画は進んでいない。 第3に長野県・福岡県の農村女性政策とは異なる第3の類型を見出すことである。これは都道府県レベルでは行うことができず、市町村レベルになるが、宮崎県都城市で実施した。都城市は女性農業委員の登用に積極的で、全国的にも最先進地である。それは、市の農業委員会、地域農業集団、農村女性の3者の協力によって推進されていた。地域農業集団の積極的な関与が極めて特徴的である。 第4に、これは当初の3項目にないが、全国農業会議所において農業委員会法の改正についてインタビュー調査を行った。農業委員の選出は公選制から任命制へと変わり、女性農業委員の割合が微増している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究実施計画にあげた3項目については、すべて実施したが、研究の深化という点で、十分とは言えなかった。第1のアンケート調査は単純集計にとどまり、第2の長野県の他市町村調査は南佐久郡川上村に限られ、第3の他都道府県調査は宮崎県都城市に終わった。 しかし、計画になかった全国農業会議所の調査は、全体計画においては新しい方向を示し、最終の研究成果に大きく寄与すると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は来年度が最終年度なので、今後の推進方策は次の2点である。1つはこれまでの研究実績を個々にさらに深めること、もう1つはこれまでの実績を全体として連関付け、まとめることである。
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Causes of Carryover |
第1に、現地調査の実施にあたって、調査参加者と現地の双方において、全体の調整が困難であった。長野県南佐久郡川上村と宮崎県都城市はともに農業先進地であり、調査時期が限られた。また調査参加者の全員参加はほぼ不可能であった。 第2に、アンケート調査を郵送で回収したため、内容のチェックに時間がとられ、その後に予定していた多変量解析法による分析作業にまでは至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第1に、長野県内の他市町村と、他都道府県において、現地調査を実施する。 第2に、アンケート調査の分析を進める。そのためのアルバイトを使用する予定である。
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