2015 Fiscal Year Annual Research Report
酵素処理卵白に由来する脂肪酸合成酵素阻害ペプチドの機能とその応用
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26292144
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 彰 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (10233173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎元 廣文 帝京大学, 理工学部, 講師 (30609392)
井尻 大地 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (50551090)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 卵白 / 脂肪酸合成酵素 / ペプチド / 脂質代謝改善 / 畜産物利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ニワトリ卵白アルブミンの消化酵素処理画分(PHOVA)において見出された脂肪酸合成酵素阻害ペプチドの機能を明らかにし、PHOVAおよび含有ペプチドの多様な分野への応用を目指すことを目的としている。平成27年度は主に腹腔内脂肪低減効果を有するブロイラー用飼料資材としてのPHOVAの可能性を検証するための試験を行った。試験1として、7日齢の雄ブロイラーを対照区およびPHOVA区に分け、対照区には大豆粕ベースの飼料(CP22%)を、PHOVA区にはPHOVAを23%含有した飼料(CP22%)をそれぞれ自由摂取させ、14日齢時に解体を行った。その結果、PHOVA区では飼料摂取量が低下し、成長が抑制されたため、PHOVAの効果を正確に検証することができなかった。しかし、他の組織と比較して、腹腔内脂肪の減少割合は大であった。そこで試験2では、飼料摂取量の差による影響を排除するため、強制給餌により飼料給与量を区間で揃えて、PHOVAが脂質代謝特性に及ぼす影響を調べた。14日齢雄ブロイラーを対照区およびPHOVA区に分け試験を行った。対照区には、カゼインを唯一のタンパク質源とした精製飼料(CP22%)を、PHOVA区にはPHOVAを唯一のタンパク質源とした精製飼料(CP22%)を、それぞれ1回あたり8gを1日5回強制的に給与し、21日齢時に解体を行った。その結果、強制給餌によって区間の飼料投与量を同一にすれば、増体量に差は無くなった。PHOVA区においては血液中性脂肪濃度および肝臓の脂肪含量が共に有意に減少した。以上の結果より、ニワトリにおいても、PHOVAは体脂肪の蓄積の抑制と血液中性脂肪濃度の低下に効果があることが分かった。しかしながら、PHOVAは強い苦みと酸味を呈し、そのため特にニワトリでは飼料摂取量が大きく抑制されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画では当初小課題ⅡおよびⅢの実施を予定していたが、小課題Ⅱの大部分は平成26年度に繰り上げて既に実施済であった。そのため平成27年度は小課題Ⅲ「腹腔内脂肪低減効果を発揮するブロイラー用飼料添加物としてのFasstatinあるいは飼料原料としてのPHOVAの可能性を探る」を中心に試験を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
各年度の小課題の入れ替え等は生じるが、大筋は研究計画どおり推進させる
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Causes of Carryover |
小課題の進捗状況に変化があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
小課題の進捗状況に応じて使用する予定である。
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