2015 Fiscal Year Annual Research Report
電子診療情報を活用した透析診療の質の定量的評価システムの構築と検証
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26293156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福原 俊一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30238505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福間 真悟 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60706703)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 診療の質 / 慢性腎不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.診療の質指標の実証フィールド構築 平成26年度に導入済みであった3施設(柏友会千代田クリニック、藤井寺敬任会クリニック、愛仁会千船病院)に加え、1施設(加美川クリニック)にて運用開始し、9施設(西崎内科医院、協和会協立病院、手稲渓仁会病院、柴垣医院(3施設)、誠医会 松山医院大分腎臓内科、津山慈風会 津山中央記念病院、飯塚病院)にて導入を進めている。 導入施設を円滑に増やすため、既存の導入施設からヒアリングを行い、要望の高かった点の改修を行った。具体的には、フィードバック画面の充実、併存症の入力機能の追加、追加調査票の匿名化機能の追加などを行った。平成26年9月~平成26年12月のデータを取得し、データセンターにて施設単位の診療の質(パイロットとして、既知の診療の質項目である貧血、リンなど)に関して解析し、図表化するプログラムを作成した。平成27年1月~平成27年12月のデータは、上記の改修と重なったため延期しているが、間もなく各施設より収集可能である。 2.透析診療の質指標(QI)開発 RAND法でQI開発を行っている。QI候補を抽出するため、既存のQuality Indicatorの系統的レビューを行った。既存のQIに関する検索式を作成し、Pubmed、Scopus、CINAHL、CENTRALの電子データベースより文献の抽出作業を行った。現時点で抽出した文献では、米国Medicareが発表しているQIに関する論文、米国NKF KDOQIによるガイドラインや欧州European Best Practice Guidelinesの項目をもとに設定したQIに関する論文が大部分を占めていた。Donabedianによるモデルでは、Process指標によるQIが推奨されてはいるが、既存のQIには貧血やリンの管理指標などOutcome指標に重点を置いたものが多く、新規に開発するQIにはProcess指標に重点を置いたアイテムを含む方針を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
透析診療の質指標の実証フィールドを構築するために透析クリニックへのシステム導入を進めているが、導入時の各クリニックシステム対応に想定外の時間と労力を要している。各クリニックが運用している透析管理システムの仕様が多様であり各システムに対応するための改修が必要であった。 システム導入・改修に時間を要したため、担当者が兼任しているQI作成にも遅れが生じた。具体的には、系統的レビューの実施に想定より時間を要している。当初、系統的レビューは行わない予定であったが、より的確なQIを作成するためには、網羅的な検索が望ましいと考え、系統的レビューを実施することとした。PubMedに加え、Scopus、CINAHL、CENTRALを追加した。検索式から抽出された文献数が、Pubmedで576文献、Scopusで322文献、CINAHLで94文献、CENTRALで45文献と多数であること、また文献選択の基準を明確にすることが困難であり、レビューワー間のコンセンサス形成に時間を要していることも遅れの要因の一つである。また、抽出した文献より既存のQIのリストを抽出し、QIの質の評価をAppraisal of indicators through Research and Evaluation(AIRE)という評価項目を用いて行う予定であるが、オンライン上で入手できるのがAIREのオランダ語版のみであった。開発者数人に直接連絡をとり、英語版を入手したが、入手までに時間を要したことも進捗が遅れる要因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.透析診療の質測定システム導入の推進 システム導入・改修を推進するため、データベース事務局の補助員を雇用し、運営体制を強化した。現在までのシステム導入過程において、各クリニックで運用する主要な透析管理システムはカバーできるため、今後の導入は今までよりもスムーズになることが期待される。システム改修は最低限とする。 2.透析診療の質指標の開発・実証 システム導入への負担を減らすことで、QI開発に注力する。QI開発のロードマップを以下の様に再設定する。 平成28年~6月:系統的レビューから既存のQIを抽出、新規のQI候補を加えたQIのアイテムプールの作成、7月:パネル委員によるQIアイテムプールの適切性評価(1回目)、9月:パネル委員会、10月:QIアイテムプールの適切性評価(2回目)、11月:QI作成終了
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Causes of Carryover |
QI開発に遅れが生じ、エキスパートパネル委員によるコンセンサス形成会議が2016年度に延期された。システム導入が2015年度中に完了しなかった9施設での導入経費が2016年度に繰り越しとなあった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額 3,070,596円。 コンセンサス形成会議の旅費、謝金に70万円、システム導入費用9施設に100万円、データベース事務局事務員経費に100万円、その他通信・印刷・消耗品などに30万円程度を使用する計画である。
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Research Products
(1 results)