2014 Fiscal Year Annual Research Report
レジリエンス・エンジニアリング理論の医療の質・安全における実用化に関する研究
Project/Area Number |
26293157
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 和江 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (00324781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 繁 立教大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10281544)
小松原 明哲 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80178368)
五福 明夫 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20170475)
藤野 裕士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50252672)
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
橋本 重厚 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40221494)
中島 伸 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (80501402)
原田 賢治 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30376462)
中村 京太 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (00287731)
綾部 貴典 宮崎大学, 医学部, 講師 (70295202)
上間 あおい 大阪大学, 医学部附属病院, 技術職員 (90728007)
池尻 朋 大阪大学, 医学部附属病院, 技術職員 (70727990) [Withdrawn]
田中 宏明 大阪大学, 医学部附属病院, 技術職員 (60581113)
北村 温美 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60570356)
吉岡 大輔 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40645959)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レジリエンス・エンジニアリング / レジエント・ヘルスケア / 複雑適応システム / 機能共鳴分析手法 / アジャストメント / Safety-II / システム分析 / 先行的対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、レジリエンス・エンジニアリング(別名Safety-II)と呼ばれる新しいアプローチを、複雑適応システムである医療、特に医療安全の領域において実用化することを目的としている。 研究1年目にあたる今年度は、レジリエンス・エンジニアリング理論に関する知識を深め、医療や他産業における実践例や最新の研究動向等に関する情報収集を行った。海外の最新知見を得るために、第3回レジリエントヘルスケア・ワークショップ(デンマーク)に参加し、「日常臨床の複雑性をとらえる」をテーマとして、レジリエンス・エンジニアリングのヘルスケア領域への応用や機能共鳴分析手法(FRAM)によるシステムのモデル化等について情報交換を行った。 また、レジリエンス・エンジニアリングの世界的大家であるホルナゲル博士を招聘し、「機能共鳴分析を用いた日常業務の複雑性の把握」の講演をうけ、救急医療現場におけるアジャストメント例(緊急事態の同時発生)、手術現場におけるアジャストメント例(緊急手術症例に対応する際の麻酔科医師の配置)、外科手術における Work-As-Imagine(想定される仕事)とWork-As-Done(実際の仕事)の違いの具体例(右上葉切除術)等の提示を行うとともに、ふだんうまくいっていることに関するデータの収集方法等(会話分析、ウエアラブルセンサー等)について検討を行った。 さらに、ホルナゲル博士により提唱されたFRAM図の変法を開発し、それを用いて、公表された有害事象(異型輸血)のモデル化を行い、従来型の個別事例の根本原因分析ではなく、システム分析(systemic analysis)を行った。 本研究成果については、国内外の学会で発表し、また英文論文や図書等として出版した。また、本研究に関するホームページを作成し研究成果等について随時公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画では、レジリエンス・エンジニアリングの理論及び実践応用に関する情報収集と研究者間での情報共有、そのためのレジリエントヘルスケア・ワークショップへの参加、さらに日常診療におけるアジャストメント例の収集・分析方法に関する検討を予定していた。これらは計画どおり実施されており、学会発表や論文発表も行われている。 また、3年目にホルナゲル博士が提唱した機能共鳴分析手法を用いたシステム分析を予定していたが、今年度内に、オリジナルの方法よりも、より明確に日常業務の複雑性を記述しモデル化することが可能な変法を開発した。このことにより、2年目以降の研究が加速されると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
全研究期間を通じて、「うまくいっていることから学び、うまくいくことを増やす」というコンプレックスシステムを前提としたレジリエンス・エンジニアリングの医療における実践的手法の構築を目指す。当初の研究実施計画に従って、今後の3年間で研究を遂行する予定である。具体的には、①複雑適応システムである医療現場における日常業務の複雑性(アジャストメントを含む)を把握し、分析する手法を開発する。②医療スタッフ向けのわかりやすいFRAMチュートリアル教材を作成する。③FRAMまたはFRAM変法を用いて実臨床例に関するシステムのモデル化とリスク解析を行う。④レジリエンス・エンジニアリング理論(対応する - モニターする - 想定する - 学習する)に基づいた医療安全における先行的対応のモデルケースを作成する。 これらは研究メンバーで分担して行い、研究会議等を通じて内容の精査および情報共有を行う。また、学会発表や論文発表等を通じてピアレビューを受ける。最終年度には、公開総合シンポジウムを開催し成果発表を行い、研究成果の有用性や普及方法等について検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年3月にホルナゲル博士の来日に合わせ東京で研究会議を計画していたが、研究代表者の家族の病気療養のために、急遽、会議を主催できなくなったことから、予定していた旅費相当分が執行されなかったため、次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に予定し延期された研究会議を、平成27年度に開催する。
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[Book] Resilient health care, volume 2: The resilience of everyday clinical work.2015
Author(s)
Nakajima K, Wears RL, Hollnagel E, Braithwaite J, Hunte GS, Sujan MA, Spurgeon P, Cooke MW, Debono D, Laugaland K, Aase K, Ekstedt M, Cook RI, Schubert CC, Phipps D, Ashcroft D, Parker D, Plumb J, Stephens RJ, Woods DD, et al.
Total Pages
328(99-113)
Publisher
Ashgate
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[Book] Resilience engineering in practice, volume 2: Becoming resilient.2014
Author(s)
Komatsubara A, Nemeth C, Becker P, Abrahamsson M, Tehler H, Le Coze JC, Herchin N, Wears RL, Webb K, Kitamura M, Saurin TA, Formoso CT, Fama CC, Rankin A, Lundberg J, Woltjer R, Komatsubara A, Cedergren A, Bergstrom J, Henriqson E, Dahlstrom N, et al.
Total Pages
219(97-111)
Publisher
Ashgate
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