2015 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノム・エピゲノム解析を用いた炎症性腸疾患の包括的解析および治療戦略の確立
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26293180
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山崎 慶子 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (50415329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康夫 東邦大学, 医学部, 教授 (40261911)
江崎 幹宏 九州大学, 大学病院, 講師 (50335957)
梅野 淳嗣 九州大学, 大学病院, 助教 (70621704)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 全ゲノム関連解析 / 薬剤応答性 / エピゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(inflammatoryboweldisease;IBD)はクローン病、潰瘍性大腸炎に分類される難治性疾患であり、病態は不明なところが多い。下記研究計画に基づき、研究を行った。 1)新規Inflixamab導入患者検体を用いた前向き研究 A)IBD検体の臨床診断および治療効果の判定(鈴木、江崎、梅野、本谷):多施設共同研究機関で検体を収集した。 B)ゲノム・エピゲノム関連領域の同定(山崎):whole-genome bisufite sequence(WGBS)による検体のメチル化プロファイルを作成予定である。昨年度はライブラリー調整方法、ラン条件を検討し、今年度はHiSeq2500ラン条件の検討、必要ラン予定数を試算した。予定数の試算のため、同一検体をイルミナ社 HumanMethylation450k BeadChipにて測定し、WGBSの精度を検討した。 2)imputationを用いた新規IBD関連領域同定(山崎、冬野):GWASデータを元にimputation(ジェノタイプデータの推測)を行い、炎症性腸疾患の関連領域の探索をした。候補領域を別検体を用いて検証し、ATG16L2-FCHSD2(chr11q13)、SLC25A15-ELF1-WBP4(chr13q14)が西アジア共通の関連領域を報告した。また欧米の大規模メタ解析により報告された163SNPと日本人検体の関連を検証した。その結果、欧米人集団で強い関連を示すオートファジー関連遺伝子よりもIL23R-Th17経路が日本人集団の発症に強く関連していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1)新規Inflixamab導入患者検体を用いた前向き研究 A)IBD検体の臨床診断および治療効果の判定: 九州大学を中心に85検体(患者数 11名)を集めたが、検体収集が目標最低予定数の1/4にとどまっている。最長3年間の収集する計画であることから、収集期間、収集方法を再検討する。 B)ゲノム・エピゲノム関連領域の同定: 国際ヒトエピゲノムコンソーシアムのガイドラインではゲノム長に対しx30のデータが提唱されている(http://www.roadmapepigenomics.org/files/protocols/data/dna-methylation/MethylC-SeqStandards_FINAL.pdf)。今年度はガイドラインを満たすデータを取得するために必要なラン数を検討するため、テスト検体のシークエンスを行った。テストデータを解析したところ、ライブラリー調整時のPCRによる重複配列が多く、単一ライブラリーを複数レーン流しても有効データ量が頭打ちになることがわかった。そこで同一検体をイルミナ社 HumanMethylation450k BeadChipにて測定、比較し、十分な精度を保証するラン予定数(対コストバランス含む)を試算中である。対コストバランスを含めて試算をし、実現可能かつ最大有効量のデータが取得できるラン数を試算する。他、メチル化率の異なるゲノム領域を同定するための解析パイプラインを構築中である。また検体収集の伸び悩みを考慮し、検体数が少なくても正確な検定ができる解析方法を検討する。 2)imputationを用いた新規IBD関連領域同定:研究実績の概要で述べた内容を論文報告した(Fuyuno Y et.al J Gastroenterol(2015) [Epub ahead of print])。また同データを用いて、原発性胆汁性肝硬変とクローン病の遺伝的な異質性を論文報告した(Aiba Y et.al J Hum Genet. (2015) 60, 525-31) 以上より達成度を「(4)遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画の進捗状況を左右しているのは新規Inflixamab導入患者検体の収集およびWGBSの対コストパフォーマンスが悪いことである。 前者は一部研究デザインの変更を検討し、可能な限り検体を最大限いかせるよう研究計画の見直しをしたい。 後者は発現調節に関わるゲノム領域などメチル化の影響を受ける領域を選択的に探索できる方法を検討する。
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Causes of Carryover |
WGBSを用いたメチル化プロファイルを作成予定であったが、計画当初に想定したコストを大幅に上回るため別手法への転換等を検討している。 また、検体収集が計画通りに進んでいないこともあり、検体調整費用を繰り越す必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
手法の確定を行い、収集検体のプロファイルを作成し、解析する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Disease susceptibility genes shared by primary biliary cirrhosis and Crohn's disease in the Japanese population.2015
Author(s)
Aiba Y, Yamazaki K, Nishida N, Kawashima M, Hitomi Y, Nakamura H, Komori A, Fuyuno Y, Takahashi A, Kawaguchi T, Takazoe M, Suzuki Y, Motoya S, Matsui T, Esaki M, Matsumoto T, Kubo M, Tokunaga K, Nakamura M.
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Journal Title
J Hum Genet
Volume: 60
Pages: 525-531
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Genetic characteristics of inflammatory bowel disease in a Japanese population.2015
Author(s)
Fuyuno Y, Yamazaki K, Takahashi A, Esaki M, Kawaguchi T, Takazoe M, Matsumoto T, Matsui T, Tanaka H, Motoya S, Suzuki Y, Kiyohara Y, Kitazono T, Kubo M.
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Journal Title
J Gastroenterol.
Volume: 不明
Pages: in press
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant