2015 Fiscal Year Annual Research Report
運動ニューロン疾患における神経・筋システム変性の分子病態解明と治療法開発
Project/Area Number |
26293206
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
勝野 雅央 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50402566)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祖父江 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (20148315)
近藤 直英 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20725527)
佐橋 健太郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90710103)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 運動ニューロン / 神経変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 球脊髄性筋萎縮症 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動ニューロン疾患は根本治療法のない進行性かつ致命的神経変性疾患である。本研究では運動ニューロン疾患の病態を単なるニューロン変性としてではなく、神経・筋システム変性として捉え、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や球脊髄性筋萎縮(SBMA)の複数のモデルマウス・患者iPS由来神経・筋共培養系・患者剖検組織・バイオマーカーなどのマテリアルを用い、神経・筋システム変性に寄与する分子変化を同定し、運動ニューロン・骨格筋クロストークの異常を標的とした治療法を開発することを目的として実施している。本年度はとくにSBMAにおける分子シグナル異常について解析を行なった。Bio-Plexマルチプレックスシステムを用いてSBMAマウスモデルの脊髄・骨格筋におけるシグナル変化を解析した結果、計17個の分子におけるリン酸化を測定した。SBMAマウスモデルの脊髄において、野生型マウスと比較して発症前(6週齢)から有意にリン酸化が変化(全て上昇)していた分子を7種(Src・Stat3・p38MAPK・c-Jun・IGF-1R・Akt・IkBa)同定した。そのうちSrcは発症後期まで一貫して有意差をもち上昇をみとめた。骨格筋では野生型マウスと比較して4分子(Stat3・IRS-1・Akt・p70s6k)の発現が有意に上昇していた。これらの分子の中で、脊髄において発症前から発症後期までリン酸化が上昇していたSrcはコントロールと比較してSOD1マウスの脊髄と骨格筋両方で1.2倍以上上昇しており、SBMAモデルマウスとの類似をみとめた。また、SBMAの神経系(NSC34)および骨格筋(C2C12)細胞モデルにSrc阻害剤を投与したところ、細胞のviabilityが改善し、細胞死が抑制されたことから、Srcの異常活性化がSBMAの病態に寄与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動ニューロン疾患におけるシグナル異常に関する解析が進んでおり、治療法開発のターゲットとなりうる分子を複数同定することができた。そのうちの一部はALSとSBMAとに共通する分子異常であり、両疾患における共通の病態経路が明らかとなりつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
Bio-Plexマルチプレックスシステムにより同定された分子について、今後さらに細胞レベルおよびマウス個体レベルでの解析を進め、病態に関するシグナルであることの検証を行なうとともに、シグナルを是正する化合物を探索し、治療標的分子としての妥当性を検証していく予定である。
|
Causes of Carryover |
1月以降に使用した実験動物施設使用料の支払いが平成28年度になる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度より翌年度にかけて予定している実験動物関連への支払いに充当する。
|
Research Products
(13 results)
-
-
[Journal Article] FUS regulates AMPA receptor function and FTLD/ALS-associated behaviour via GluA1 mRNA stabilization.2015
Author(s)
Udagawa T, Fujioka Y, Tanaka M, Honda D, Yokoi S, Riku Y, Ibi D, Nagai T, Yamada K, Watanabe H, Katsuno M, Inada T, Ohno K, Sokabe M, Okado H, Ishigaki S, Sobue G.
-
Journal Title
Nat Commun.
Volume: 6
Pages: 7098
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
[Journal Article] Pioglitazone suppresses neuronal and muscular degeneration caused by polyglutamine-expanded androgen receptors.2015
Author(s)
Iida M, Katsuno M, Nakatsuji H, Adachi H, Kondo N, Miyazaki Y, Tohnai G, Ikenaka K, Watanabe H, Yamamoto M, Kishida K, Sobue G.
-
Journal Title
Hum Mol Genet.
Volume: 24
Pages: 314-329
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] The effects of pioglitazone on spinal and bulbar muscular atrophy.2015
Author(s)
Iida M, Katsuno M, Nakatsuji H, Adachi H, Kondo N, Miyazaki Y, Tohnai G, Watanabe H, Yamamoto M, Kishida K, Sobue G.
Organizer
第56回日本神経学会学術大会
Place of Presentation
朱鷺メッセ(新潟県新潟市)
Year and Date
2015-05-20 – 2015-05-23