2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26293229
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊川 友活 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (60450392)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | B細胞分化 / 細胞内代謝 / 運命決定 / 造血幹細胞 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
B細胞を含むすべての血液・免疫細胞は造血幹細胞から作られる。その過程で多能性の造血幹細胞は徐々に分化能が限定されていき、最終的にB細胞にしかなれない前駆細胞に運命決定される。E2A、EBF1、Pax5など様々な転写因子がB細胞への運命決定に関わっているが、詳細は明らかでない。特に、これら転写因子の標的遺伝子として示唆されている細胞内代謝調節遺伝子の役割は不明である。申請者らは最近B細胞への運命決定における分子機構を調べることの出来る新しい分化誘導系を開発した。この培養系を用いると、7日間で多能前駆細胞からB細胞系列への運命決定を誘導することが出来る。そこで本研究ではこの培養系を用いてB細胞への運命決定に必要なエネルギー代謝関連の遺伝子をスクリーニングし、その機能を明らかにすることを目的とする。 本年度は研究計画に従い、インスリンシグナルのB細胞初期分化における役割を解析した。インスリンのシグナル伝達分子であるInsulin receptor substrate (IRS)-1を欠損したマウスを解析したところ、骨髄においてB細胞数が1/3-1/5程度に減少していた。また、脾臓のB細胞の機能成熟にも異常が認められた。次にIRS-1欠損マウス骨髄から造血幹細胞を採取しB細胞への分化を支持するTSt-4ストローマ細胞と共培養したところ、B細胞への分化が顕著に阻害されていたことからIRS-1がB細胞の分化・成熟を直接制御していると考えられた。このことはIRS-1を含めたインスリンシグナルが、B細胞の分化や機能維持に重要な役割を果たしていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、iLS細胞のB細胞分化誘導系を用いて代謝系遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、B細胞系列への運命決定過程において、インスリンシグナルが、重要な役割を果たすことが明らかとなった。特に、IRS-1がB細胞初期分化に不可欠であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はほぼ計画通りに進んでいる。今後はデータをまとめて論文を投稿することを目標に研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの作成に予想以上に時間がかかったため、予定していたマウスの解析が次年度に持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した予算はモノクローナル抗体やRNA精製キットなどの試薬代として使用する予定である。
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[Journal Article] Conversion of T cells to B cells by inactivation of polycomb-mediated epigenetic suppression of the B-lineage program2016
Author(s)
Ikawa T, Masuda K, Endo TA, Endo M, Isono K, Koseki Y, Nakagawa R, Kometani K, Takano J, Agata Y, Katsura Y, Kurosaki T, Vidal M, Koseki H, Kawamoto H
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Journal Title
Genes & Development
Volume: 30
Pages: 2475-2485
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Transient Tcf3 gene repression by TALE-tanscription factor targeting2016
Author(s)
2.Masuda J, Kawamoto H, Strober W, Takayama-E, Mizutani A, Murakami H, Ikawa T, Kitani A, Maeno N, Shigehiro T, Satoh A, Seno A, Arun V, Kasai T, Fuss IJ, Katsura Y, Seno M
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Journal Title
Appl Biochem Biotechnol
Volume: 36
Pages: 1559-1573
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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