2014 Fiscal Year Annual Research Report
先天奇形症候群の大脳皮質発生異常にエピジェネティクス機構が果たす役割に関する研究
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26293248
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 孝雄 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80171495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 健次郎 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30234743)
三橋 隆行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80338110)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経発生 / 大脳皮質 / エピゲノム / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常な大脳皮質発生においては、神経前駆細胞の分裂増殖・分化誘導が秩序だって進行することが極めて重要である。我々の複数の先行研究の結果から、遺伝子異常や有害な環境因子などにより神経前駆細胞の細胞分裂動態に異常を生じ、その結果大脳皮質構築異常を生じることが判明した。さらにそれらの病態の背景には、特定の遺伝子配列に依存しないエピジェネティクス機構が関与していることが強く示唆されている。本研究では、エピジェネティクス機構の主要メカニズムであるヒストンのアセチル化調節に関わる酵素異常により発症する先天奇形症候群を取り掛かりとして、神経前駆細胞の細胞周期調節の破たんとその結果生じる大脳皮質構築異常にエピジェネティクス機構が果たしている役割について解明する。 平成26年度はヒストンアセチル化酵素CBPの神経前駆細胞特異的・時期特異的発現減少マウス胎児を準備した。具体的には、理論上CBP蛋白発現量を減少させるマイクロRNAを哺乳類細胞で産生できるプラスミドを作成し、それをもとにTRE-CBPRNAiトランスジェニックマウスを作成した。本トランスジェニックマウスは、tetOを含むテトラサイクリン応答エレメント(TRE)の制御下で、rtTA・ドキシサイクリン共存下でCBPRNAi転写産物を発現する。 神経前駆細胞特異的な発現が知られているnestin蛋白の転写調節領域制御下でrtTAを発現するnestin-rtTAトランスジェニックマウスと上記TRE-CBPRNAiトランスジェニックマウスを交配し、ドキシサイクリンを母親に投与することで、特定の時期に神経前駆細胞にのみCBP蛋白質を減少させることが可能である。現在得られた5ラインのTRE-CBPRNAiトランスジェニックマウスのうち、CBP蛋白量を減少可能なラインを選定中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した実験のうち一つが現在進行中であるが、おおむね当初の計画通り研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、平成27年度はCBP蛋白量の減少が神経前駆細胞の分裂・分化誘導に及ぼす影響について解析する。その際、体外授精・胚移植を活用することで実験効率が改善することが判明した。そこで平成26年度の基金助成金の未使用分は、体外授精・胚移植にかかる費用として活用する計画である。
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Causes of Carryover |
平成26年度はマウス飼育数が想定より少なく、かつ慶應義塾大学医学部動物実験センターの協力でトランスジェニックマウス作成費用が不要であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで自然交配に頼っていた胎児入手方法を、体外授精・胚移植を活用することで実験効率を向上可能であることが判明しており、平成26年度の基金助成金の未使用分は、体外授精・胚移植にかかる費用(一回あたり21.8万円)として活用する計画である。
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