2016 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化の治療戦略に役立つ核医学イメージング法:EBMのための実験的研究
Project/Area Number |
26293268
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東川 桂 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (10756878)
玉木 長良 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (30171888)
川井 恵一 金沢大学, 保健学系, 教授 (30204663)
西嶋 剣一 北海道大学, 大学病院, 薬剤師 (60364254)
浅田 祐士郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70202588)
鐙谷 武雄 北海道大学, 大学病院, 助教 (80270726)
七戸 秀夫 北海道大学, 大学病院, 准教授 (80374479)
山下 篤 宮崎大学, 医学部, 助教 (90372797)
志水 陽一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90634212)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 放射線 / 核医学診断 / 不安定プラーク / 組織因子 / インテグリンαvβ3 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化病変の診断においては、早期治療を必要とする“破綻しやすいプラーク”を見出し、その治療の効果を的確に診断することが重要である。核医学的手法は、プラークの不安定性を決定付ける分子・細胞レベルの因子を高い定量性を持った画像として表現できる画像診断法である。本研究は、動脈硬化プラークの破綻・血栓形成に深く関与する因子(炎症反応、組織因子(Tissue Factor)、インテグリンなど)を標的とする核医学イメージング剤の動脈硬化病変への集積に関する分子・細胞レベルのエビデンスを固め、18F-FDG(炎症イメージング)の場合と比較することにより、「18F-FDGでは病変の性状・治療効果をどこまで評価できるのか?」「新しいイメージング剤により、さらに優れた診断法を提案できるのか?」を検証することを目的とする。 平成28年度は、動脈硬化プラークの破綻・血栓形成に深く関与する因子として、補体、およびインテグリン (αvβ3、α2bβ3) に着目し、これらを標的とするイメージング剤に関する検討を進めた。 ①補体第二経路関連分子、Properdinの放射性標識体の合成法について検討した。すなわち、Properdinに金属キレーター(DOTA)を結合させた後、In-111で標識した。また、炎症モデル動物における体内動態を予備的に検討し、データ解析中である。さらに、細胞レベルでの解析のため、マクロファージ、特にM1、M2への極性化の方法を確立した。 ②インテグリンαVβ3、及びα2bβ3を標的とするイメージング剤に関する検討を進めた。αVβ3のイメージング剤については、[18F]RGD-K5の自動合成化を進めた。その結果、放射化学的収率14.4%、放射化学的純度99%以上で得ることに成功した。また、α2bβ3を標的としたイメージング剤の標識合成法について検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回、動脈硬化プラークの破綻・血栓形成に深く関与する因子として、あらたに補体第二経路関連分子であるProperdin、及びインテグリンα2bβ3に着目し、これらの分子を標的とするイメージング剤に関する検討を進めたた。このため、組織因子(TF)、インテグリンαVβ3を標的とするイメージング剤の動物における評価、すなわち「TFやインテグリンαvβ3のイメージングが18F-FDGを超える診断情報を提供しうるのか?」に関する検証がやや遅れている。しかし、動脈硬化プラークの破綻・血栓形成に深く関与する因子を標的とする新しい核医学イメージング剤を開発し、18F-FDG(炎症イメージング)よりも優れた診断法を提案するという最終目標に対しては、着実に進捗してる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、各イメージング剤の標識合成方法及び評価方法をほぼ確立した。今後は、培養細胞、或いはモデル動物を用いた検討を着実に進める。すなわち、各イメージング剤の病変への集積をオートラジオグラフィー・動物用PET/SPECTにより測定し、病理組織学的評価結果と対比することにより、「各イメージング剤が対象とする因子を正確に反映しているか?」、「その集積は、病変のステージ・不安定性、プラーク内の部位・細胞・分子とどのように関係しているのか?」、「治療により、病変の性状とイメージング剤の病変内集積がどのように変化するか?」を検証する。 以上のエビデンスを基に、本邦でも臨床使用可能な18F-FDGで「病変の性状と治療効果をどこまで評価できるのか?」「炎症反応、組織因子(Tissue Factor)、インテグリンなどの新しいイメージングが18F-FDGを超える診断情報を提供しうるのか?」を判断する。さらに、得られた成果を社会・国民に発信する。
|
Research Products
(3 results)