2014 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の微量癌細胞の着床・増殖機序の解明と臨床応用
Project/Area Number |
26293306
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛 真一郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00620519)
奥村 浩 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10398282)
中条 哲浩 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20404486)
内門 泰斗 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 特例准教授 (30464465)
喜島 祐子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60381175)
上之園 芳一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60398279)
石神 純也 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90325803)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微量癌細胞 / 消化器癌 / リンパ節 / 血中遊離癌細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
CellSearch systemを用いた血中遊離癌細胞の臨床的意義に関して,胃癌で検討した結果,遊離癌細胞の存在は再発と強く関連しており,唯一の予後因子であることを報告した(Cancer, Aug 20, 2013). 近年,食道進行癌では化学放射線あるいは化学療法が施行されている.今回,SellSearch systemを用い,食道癌細胞株と食道癌患者で血中遊離癌細胞の意義について検討した.化学療法あるいは化学放射線療法を受けた食道癌患者90例を対象として,治療前と治療後に血中遊離癌細胞の有無を調べた. 食道癌細胞株では遊離癌細胞の検出が可能であった.食道癌症例で遊離癌細胞は90例中25例(27.8%)に検出された.予後は遊離癌細胞陽性群では陰性群に比べて有意に不良であった.経過観察ができた71例で化学療法または化学放射線治療の効果を検討した.効果ありが32例,変化なしが12例,悪化が27例に認められた.治療後に遊離癌細胞が陽性であったものは,悪化例の40.7%にみられた.一方,効果ありの症例では治療後に遊離癌細胞が陽性であったものは6.3%であった.さらに治療前に遊離癌細胞が陽性であったが,治療後に陰性になった症例では,予後が良好であった. 食道癌患者で血中遊離癌細胞を調べることは,化学療法や化学放射線療法の効果を予測することに有用であると考えらえた.さらに予後を推測するうえでも有用なマーカーとなることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回,食道癌症例で化学療法と化学放射線療法の効果と予後を血中遊離癌細胞を検出することにより検討した.奏効例では非奏効例に比べ,遊離癌細胞が陰性あるいは陽性から治療後に陰性化するという仮説のもとに実験を進めてきた. 血中遊離癌細胞の存在は化学療法や化学放射線療法の効果と相関し,さらに予後との相関も認められた.今回のこの結果は仮説を証明できたと考えられる. 今回の結果から,化学療法あるいは化学放射線治療の奏効例と非奏効例では,微小転移巣に関しても抗癌剤,放射線の感受性および耐性の関与があることが示唆された.術前治療で残存したリンパ節や血中の癌細胞は抗癌剤や放射線耐性細胞と考えられ,さらにその特性について検討が必要である. CellSearch Systemを用い,微量癌細胞の発現を見ることにより腫瘍の悪性度および分子標的剤の選別について症例を蓄積中で,ある程度順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
化学療法あるいは化学放射線治療の奏効例と非奏効例では,微小転移巣に関しても抗癌剤,放射線の感受性および耐性の関与があると考えられる.術前治療で残存したリンパ節や血中の癌細胞は抗癌剤や放射線耐性細胞と考えられ,EMTあるいは癌幹細胞の性質を持つと考えられる.化学療法や化学放射線治療をした症例で切除後の標本で残存している癌細胞の特性や遺伝子発現を見ることが重要と考えられる.原発巣とリンパ節転移巣では遺伝子発現が異なることも予想され,両面から検討を進めていく必要がある.現在症例を蓄積するとともに遺伝子解析に必要なマーカーを準備中である. 消化器癌(食道癌,胃癌,大腸癌,膵臓癌)を対象として,新しく得られた切除標本について免疫組織学的およびRT-PCR法によるリンパ節微小転移の解析を継続する.微量癌細胞がみられた症例について,原発巣とリンパ節転移巣に関してEMT関連マーカー(snail, slug, Zeb1, Zeb2など)あるいは癌幹細胞マーカー(CD133, CD44, ALDHなど)を用いて免疫組織学的およびRT-PCR法で解析をする. 血中微量癌細胞の分子標的治療への応用として,CellSearch Systemを用い,微量癌細胞の遺伝子発現をみることにより治療への応用について検討する.胃癌で EGFRやHer2/neuの解析を進め,さらにEMTや癌幹細胞マーカーについて検討を行う.
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