2015 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性鼻炎発症における肥満細胞脱顆粒の多面的研究
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26293368
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤枝 重治 福井大学, 医学部, 教授 (30238539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 貴広 福井大学, 医学部附属病院, 特命助教 (10464075)
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40344882)
高林 哲司 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (70397272)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | IgE / IL-33 / TSLP / C3a / C5a / IL-17A |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性鼻炎の発症メカニズムにおいて、好塩基球の役割はまだ十分わかっていない。そこでスギ感作陽性未発症者、スギ花粉症患者、健常人の3群で、スギ抗原Cry j1刺激下での末梢好塩基球におけるCD203c発現を調べた。すると、スギ花粉症患者群では、スギ感作陽性未発症者群および健常人群に比較して、有意にCD203c発現が亢進していた。またスギ感作陽性未発症者群において、スギ皮下テスト陽性群と陰性群を比較すると皮下テスト陽性群では、陰性群に比較して有意にCD203c発現が亢進していた。以上のことは、CD203c発現は、感作・発症の状態を確実に反映していることが判明した。 同時にサイトカイン分泌や作用状況は、Th2に傾くこともアレルギー性鼻炎発症には重要である。TSLP受容体欠損マウスとIL-33/ST-2欠損マウスの実験から、急性期の抗原曝露では、IL-33/ST-2がTh2環境誘導の中心として働き、慢性の抗原曝露ではTSLP受容体とST-2がともにTh2環境誘導の中心として働くことがわかった。すなわちTSLPとIL-33はIgE産生に重要であり、肥満細胞からのヒスタミン放出など下流の発症機序にはあまり関係がないのかもしれない。 アレルギー性鼻炎の症状を反映する臨床マーカの検索としては、血清中C3aとC5aの補体レベル、IL-17Aが症状との相関を認め、舌下免疫療法を行うと、いずれも経年的に値が有意に低下した。C3aは肥満細胞を直接刺激し、ヒスタミン放出を促す物質であり、この制御がアレルギー性鼻炎治療の目標になりえることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD203cは好塩基球や肥満細胞上に発現しており、その発現が臨床状態と相関していることを見つけた。このことは、今後肥満細胞の活性化を検討するうえで、非常に有用になってきた。昨年度発見した、肥満細胞における活性化分子Dectin-1といかにつながっていくのか、今後検討していく。 ApoA4に関しては、ノックアウトマウス、サルでの実験結果から、肥満細胞からのヒスタミン放出抑制作用があることが、判明した。しかし今後臨床応用するかどうかは検討中である。 次世代シークエンサーの解析は進んでいるが、機能解析においてやや苦戦をし、ポジティブなデータが最近出ていない。実験系を工夫して今後検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト末梢血から肥満細胞を誘導し、ApoA4、Allergin-1、Intelectin-1、CST-1、IL-33、IL-25における脱顆粒への影響を、カルシウム分泌から検討する。同じ系で、長鎖および中鎖の不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸にて肥満細胞を処理し、抗原刺激での脱顆粒にどのように影響するのかを調べる。すなわち、鼻腔内の細菌叢の状態で長鎖および中鎖の不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸の状況が変化し、抗原曝露での状況に影響を及ぼすのではないかと考えている。さらに長鎖および中鎖の不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸にて鼻粘膜上皮からのTSLP産生状態、肥満細胞・好塩基球上のCD203cがどのように変化するかを調べる。 CD203cとDectin-1の関係をDectin-1のSiRNA処理にてCD203cがどのように変化するか検討する。 次世代シークエンサーの解析から数個の遺伝子を見いだせた。その遺伝子に関して機能解析を行う。さらにメチル化しているDNAを探索すべく、ChIP assay を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度の前半、次世代シークエンサーの研究がうまく機能でせず、使用すべき試薬代と解析費用があまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在は、次世代シークエンサーが機能しているため、平成28年度は全く問題ない。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Guiding principles of sublingual immunotherapy for allergic rhinitis in Japanese patients.2016
Author(s)
Masuyama K, Goto M, Takeno S, Ohta N, Okano M, Kamijo A, Suzuki M, Terada T, Sakurai D, Horiguchi S, Honda K, Matsune S, Yamada T, Sakashita M, Yuta A, Fuchiwaki T, Miyanohara I, Nakayama T, Okamoto Y, Fujieda S.
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Journal Title
Auris Nasus Larynx.
Volume: 43
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Peripheral basophil reactivity, CD203c expression by Cryj1 stimulation, is useful for diagnosing seasonal allergic rhinitis by Japanese cedar pollen.2015
Author(s)
Imoto Y, Takabayashi T, Sakashita M, Tokunaga T, Ninomiya T, Ito Y, Narita N, Yamada T, Fujieda S.
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Journal Title
Immun Inflamm Dis.
Volume: 3
Pages: 300-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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