2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26293373
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
園田 康平 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10294943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳井 亮二 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10346554)
山崎 晶 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (40312946)
森重 直行 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40346565)
藏滿 保宏 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50281811)
木村 和博 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60335255)
中村 和行 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (90107748)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自然炎症制御 / 網膜自己再生 / アラーミン / RPE / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
失明に直結する各種網膜硝子体疾患に対し、これまで多くの治療(薬物治療・外科治療)が開発された。これらは「原因疾患の適切な治療」と集約でき、視覚予後を一定レベルまで改善させた。しかし神経系である網膜の機能再生は現時点では困難で、失明または視機能障害を残す病態が未だ多く存在する。この治療の限界に、何らかのブレークスルーが必要である。 本研究の目的は、「網膜硝子体疾患に必然的に随伴する内因性炎症を適正制御することで、内在性幹細胞を活性化し、機能再生を行うこと」である。内因性炎症は創傷治癒機転の一翼を担い、「無菌状態で起こる炎症」とも言われる。自然免疫細胞群がアラーミンと呼ばれるストレス分子を認識することで始まるが、免疫特権を有する眼球でこれまで殆ど解析されていない。眼球において、適正な内因性炎症により内在性幹細胞リプログラミングが始まることを明確にした上で、それを基軸とする新しい炎症制御・網膜機能再生治療の確立を目指し研究を行っている。 平成26年度は、3つの眼炎症モデル(網膜剥離モデル、網膜下瘢痕形成モデル、ぶどう膜炎モデル)を用いて、内因性炎症関連因子のスクリーニングを行った。3つのモデル全てにおいて、既報と同様にタンパクビーズアレイを用いてIL-6, MIP-2, MCP-1の上昇を確認し、それに呼応してアラーミンと考えられるHMGB-1, IL-1α, S100proteinsが上昇していた。同様のことをin vitro(マクロファージと網膜色素上皮細胞の共培養系)でも確認することができた。また色素上皮細胞の凍結融解によって得られた液性因子の中にも、高濃度にHMGB-1, IL-1α, S100proteinsが存在していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験モデルの立ち上げが順調であった。タンパクビーズアレイシステムも順調に作動している。
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Strategy for Future Research Activity |
アラーミンのスクリーニングをさらに進め、内在性幹細胞を誘導できる因子を絞り込む。この因子を用いてマウス網膜のプロテオーム解析を行った上で、内因性炎症を抑制し、かつ幹細胞を誘導しうる共通項因子または因子カクテルをデザインする予定である。
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Causes of Carryover |
アラーミン同定は予定通り行えたが、それに反応して動くシグナルを経時的に追求する必要がある。当初計画していたタンパクビーズアレイシステム解析・プロテオーム解析が、初年度だけではなく次年度以降も継続的に解析する必要が判明し、予算を次年度以降に持ち越す必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タンパクビーズアレイシステム解析・プロテオーム解析は、残り2年間にわたって計画通り使用する。動物等の使用計画には変更はない。
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Research Products
(11 results)