2015 Fiscal Year Annual Research Report
PAMPs、DAMPsの多層的制御機構とそのトポロジー/時空軸と病態発現機序
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26293385
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆史 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 講師 (20381171)
川原 幸一 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10381170)
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70250917)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DAMPs / HMGB1 / ヒストン / レドックス状態 / ヒト化モノクローナル抗体 / DIC / 敗血症性ショック / トロンボモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、代表的DAMPs である HMGB1 とヒストンの局所化封印の仕組みとその破綻の病態としての“ショック、多臓器不全、DIC”などの関連を研究することである。局所化封印に関しては両分子とも生体内では血管内皮細胞上のトロンボモジュリン(TM)がキャプチャーすることが大きな役割を果たしている。一方、HMGB1分子には全還元型、部分酸化型、全酸化型があり、全還元型は(炎症細胞)遊走能、部分酸化型は炎症性サイトカイン発現・放出能があるが、全酸化型は修復活性があることが判明している。27年度はこの3者と識別反応するモノクローナル抗体の作成に成功した。現在その治療的有効性に関して研究中である。ヒストンに関しては、これが血小板を活性化し微小循環を障害することを証明した。ヒストンの遊離の仕組みに関してはNETs(neutrophil extracellular traps)形成に伴って細胞外に放出されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去1年の進捗状況と問題点は、以下の通りである。 1.生理的には内皮細胞上のTMが、DAMPs:HMGB1 とヒストンと結合中和して、その全身化をブロックしている。また治療的目的で投与された遺伝子組み換えTM も上述のDAMPs 制御が効果を発揮している。 2.HMGB1 の酸化還元状態に基づく3つのアイソフォーム識別反応するモノクローナル抗体を作製しえたのは、大きな成果であったが、in vivo でその有効性を検証するところまで至らなかった。これは28年度の宿題としたい。 3.また細胞外DAMPs:ヒストンがTMのどのドメインに結合するのか、に関しても決定的には同定に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. まずHMGB1 のレドックス状態によって生じる3つのアイソフォームを選択的に識別反応するモノクローナル抗体の有用性をin vitro のみならず敗血症モデル小動物のでも検証する。2. その結果を基にヒト化に着手し治療用への展望を拓く。3.TMとヒストンのアイソフォームの反応性の違いを明らかにする。 これらの結果を総合し最終目的であるPAMPs,DAMPsの多層的制御機構とそのトポロジー/時空軸と病態発現の機序の一端を明らかにする。 申請者らはDAMPs:HMGB1について研究を持続して以下の成果を挙げてきた。すなわちHMGB1の高感度測定法ELISA法の確立、種々の生体内外からの侵襲において HMGB1が凝固と炎症のメディエーターとして病態を形成し、過剰な場合にはショック、Disseminated Intravascular Coagulation(DIC)を引き起こすこと、HMGB1 は申請者らが遺伝子クローニングし、創薬化にこぎつけたトロンボモジュリン(TM)のN末端に結合して中和されることなどである。 一方、代表的DAMPsであるHMGB1には3つのシステイン残基(23,45,106番目)が存在し、そのチオール化の程度によりアイソフォーム:全還元型、部分酸化型、全酸化型があり、そのおのおので活性が異なることが判明してきた。まず壊死細胞から遊離して間もないHMGB1 は全還元型で(炎症性)細胞の遊走能を有する。部分酸化型は炎症性サイトカイン放出能を発揮する。しかるに全酸化型のHMGB1は修復能を発揮する。そこでこれら3つのアイソフォームを個別に識別して認識するHMGB1 モノクローナル抗体の作成を試み、highly specific に3アイソフォームを識別して認識するモノクローナル抗体の作製に成功した。現在、その各抗体のヒト化の研究に着手する段階であるが、その前に各種臨床検体で3つのアイソフォームを識別して測定し敗血症などのモデル動物で全酸化型HMGB1 抗体とは反応しないモノクローナル抗体で、病態改善能があるかどうかを検討予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] The E3 ligase synoviolin controls body weight and mitochondrial biogenesis through negative regulation of PGC-1β.2015
Author(s)
Fujita H, Yagishita N, Aratani S, Saito-Fujita T, Morota S, Yamano Y, Hansson MJ, Inazu M, Kokuba H, Sudo K, Sato E, Kawahara K, Nakajima F, Hasegawa D, Higuchi I, Sato T, Araya N, Usui C, Nishioka K, Nakatani Y, Maruyama I, Usui M, Hara N, Uchino H, Elmer E, Nishioka K, Nakajima T.
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Journal Title
EMBO J.
Volume: 34(8)
Pages: 1042-55
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Gene transfer of high-mobility group box 1 box-A domain in a rat acute liver failure model.2015
Author(s)
Tanaka M, Shinoda M, Takayanagi A, Oshima G, Nishiyama R, Fukuda K, Yagi H, Hayashida T, Masugi Y, Suda K, Yamada S, Miyasho T, Hibi T, Abe Y, Kitago M, Obara H, Itano O, Takeuchi H, Sakamoto M, Tanabe M, Maruyama I, Kitagawa Y.
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Journal Title
J Surg Res.
Volume: 194(2)
Pages: 571-80
DOI
Peer Reviewed / Open Access