2017 Fiscal Year Annual Research Report
The study of the workforce in emergency medicine
Project/Area Number |
26293388
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
平出 敦 近畿大学, IRセンター, 教授 (20199037)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 愛恵 近畿大学, 医学部附属病院, その他 (50447942)
西内 辰也 兵庫県立尼崎総合医療センター(研究部), 診療部内科, 医師 (60588804)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 救急医療 / ワークフォース / 救急蘇生 / トリアージ |
Outline of Annual Research Achievements |
社会の高齢化が急速に進む中で、救急医療のワークフォース確保は極めて重要な課題である。本研究では救急医療のワークフォースに関する実態を解析して取りまとめた。救命救急センター、救急告示病院、その他の病院といった救急病院の区分による救急におけるワークフォースの比較検討をした研究成果は、日本医師会雑誌に掲載された。臨床研修を実施している病院と、それ以外の病院に関するワークフォースの比較についても、成果がまとまり、現在、投稿中である。わが国では、CT、エコーといった救急医療で必要な設備は、急性期を扱う施設では広く設置されており、MRIや血管造影についても、設備としては普及が進んでいる。しかし、救急医療に関するワークフォースについては、確保が不十分であり、規模の小さな病院で、多くの医師が単独で夜間および時間外に救急のケアをしている実態が明らかになった。また、多くの医療機関で、救急を担当する医師が夜間の勤務の前に日常勤務をしていた。さらに、夜間の時間外診療を行った後に、日常勤務を行っていた。この傾向は、救命救急センターにおいても、救急告示病院においても、あるいは、それ以外の病院においても、同様に認められ、救急病院の区分や規模によらず、わが国で一般的に行われていることが明らかとなった。これは、医師の労働のあり方や長時間勤務のリスクの点から、見過ごせない実態であることを指摘した。その背景としては、わが国で救急診療を担う医療機関の集中化、機能分化が十分進んでいないことがあげられる。本研究では、実態調査だけでなく、救急医療におけるワークフォース確保につなげる糸口についても、検討することをめざしているが、この点については、医学部の学生の救急ケアに関する意識調査等を進めており、研究としての新しい展開をめざしている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
救急医療のワークフォースに関する実態を解析するという目的については、成果をとりまとめることができた。救命救急センター、救急告示病院、その他の病院といった救急病院の区分による救急におけるワークフォースの比較検討をした研究成果は、日本医師会雑誌に掲載された。臨床研修を実施している病院と、それ以外の病院に関するワークフォースの比較についても、成果がまとまり、現在、投稿中である。その内容からは、医師の労働のあり方や長時間勤務のリスクの点から、見過ごせない実態も、提示できたと考えている。一方、本研究では、実態調査だけでなく、救急医療におけるワークフォース確保につなげる糸口についても、研究目的で言及しているが、この点については、医学部の学生の救急ケアに関する意識調査の分析が進んでいる。当初の計画では、量的な実態調査をめざしていたが、それだけでなく、質的な分析に関しても、研究が進展しており、その点で当初の計画以上に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
救急医療におけるワークフォースに関する検討では、現状の実態調査として、問題点や課題を、明らかにすることができた。概要としては、CT、エコー等の設備面では、規模が大きくない医療機関でも充実しているが、ワークフォースに関しては、課題が大きい。特に、夜間や時間外に救急のケアを担当する医師は、単独で担当する病院が少なくない。さらに、これらの多くの医師が夜間勤務前に日常勤務をしたり、夜間勤務後に日常勤務を行っており、長時間の勤務という点でも問題である。このような量的な因子に関する解析を行ったが、同時に、医師をめざす学徒がどのように意識して、どのようなイメージをもっているかといった質的な因子に関する解析も、今後の研究の推進方策として極めて重要と考えている。このような質的な因子に関しては、従来、アンケートやインタビューの資料からめぼしい意見を印象でピックアップすることが多かったが、text miningの手法を用いて、より客観的な解析が可能となってきており、こうした手法を用いて、この研究をさらに推進する方針である。
|
Causes of Carryover |
本研究では、病院に対する実態調査が進んだが、現実に救急医療におけるワークフォース確保につなげる糸口については、なお、新しい展開を求めている状況である。この点については、平成29年度に米国に出張し、学生の意識に対する分析手法を調査した。その結果、調査の手法として、text miningを採用することになった。平成29年度にIBM SPSS Text Analytics for Surveys 4.0.1を購入して、研究を推進した。しかし、このシステムは小ぶりな需要に適しており、さらに、高度で規模の大きな分析が必要であることがあきらかとなった。そのための環境整備が求められることから、次年度に、とりまとめてより高額なソフトウエアの購入を可能とするため、次年度使用額にあてた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(7 results)