2014 Fiscal Year Annual Research Report
咬合異常が脳に及ぼすストレスのリアルタイムモニタリング
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26293441
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森田 学 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40157904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江國 大輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (70346443)
友藤 孝明 岡山大学, 大学病院, 講師 (80335629)
東 哲司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80432649)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 咬合異状 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、酸化ストレス可視化マウス(Tg型OKD-Lucマウス)において咬合異常モデルを確立すること、咬合異常によって生じた酸化ストレスを可視化するための最適な条件を確立することを目標とした。 8週齢の酸化ストレス可視化マウスを用いて、咬合異常群と対照群に分けた。さらに咬合異常群を両側の上顎臼歯の咬頭を削合する群、左側の上顎臼歯の咬頭を削合する群に分けた。削合直後及び、4週後、8週後にルシフェラーゼ活性を応用して、ルミノメーターでマウスの酸化ストレス部分を可視化、各種組織における経時的変化を検討した。また既存の方法における酸化ストレス評価と比較するため、実験期間終了後にマウスを屠殺し、各種サンプルを採取した。 採取された脳において、咬合異常群では対照群と比較し酸化ストレスの指標であるNrf2の遺伝子発現が高い値を示した。さらに両側臼歯を削合した群では、左側のみを削合した群と比較し、高い値を示した。咬合異常の程度に応じて、脳の酸化ストレスが上昇している可能性がある。 ルシフェラーゼ活性による単位面積当たりの頭部の発光を比較したところ、咬合異常群では4週目に高い値を示した。これは、対照群と比較し、高い傾向が見られた。発光の結果からも、咬合異常による脳の酸化ストレスの上昇が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
咬合異常を実験的に作製し、脳における酸化ストレス可視化を確認できた。また咬合異常の程度に応じて、可視化の程度も変化した。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔内局所における酸化ストレスの可視化について、蛍光色素の量・タイミング、微弱発光測定装置の測定条件を様々に変化させてみたが、満足できる結果は得られていない。今後も感度のよい方法を確立する。脳付近の可視化については、可視化の可能性を確認した。なお、当初マウス口腔内で臼歯の喪失パターンをいくつか想定した。しかし、実験の手技上、「抜歯」が非常に困難であることから、「咬頭削合」による咬合異状モデルで実験を進めることとする。平成27年度は咬頭削合歯数を2歯、あるいは3歯になるように設定する。そして、観察(飼育)期間を延長するなどして可視化を模索する。可視化の他に以下の点について検討する。 血中酸化ストレス測定:尾静脈(実験終了時は心臓)から採血する。血液検査として、d-ROMテストに加えて、ヘキサノイルリジン(HEL)と8-hydroxydeoxyguanosine を、それぞれELISA法で定量する。また、抗酸化力として抗酸化能(PAO:potential anti oxidant)、OXY吸着テストを測定する。また、脳と歯周囲組織の8-OHdG、nitrotyrosine、dinitrophenylhydrazine、hexanoyl lysine、還元型グルタチオン(GSH)/ 酸化型グルタチオン(GSSG)比を用いる。遺伝子発現の有無はNO合成酵素(NOS:NO synthase)、Superoxide dismutase(SOD)で検討する。また、脳の老化指標としてアミロイドβ蛋白質(Aβ-40、42)、各種遺伝子発現(アミロイドβ蛋白質前駆物質、AAP切断酵素、アポトーシス関連酵素、グルココルチコイドレセプター(Gr))を測定する。
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