2016 Fiscal Year Annual Research Report
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26300007
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高田 将志 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (60273827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 忠賢 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (00213439)
浅田 晴久 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20713051)
出田 和久 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (40128335)
亀山 恵理子 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (50598208)
吉田 容子 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (70265198)
松本 淳 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (80165894)
西村 雄一郎 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (90390707)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地理教育 / 中等教育 / アジア / 国際比較 / 教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アジア各国の中等教育の現場で、地理学がどのようなテーマを扱い、どのような教育システムの下で教えられているかについて、主に、使用されている教科書や資料類の分析と、授業見学、教員へのインタビューなどから明らかにし、各国間の相互比較を行う。そして、この結果をもとに、中等教育レベルでは、国毎にどのような地理的知識・技術・考え方を重視しているのか、とくに自国の地誌や、日本を含む主要な国との国際関係について、どのような観点を重視して教育を行っているか、を明らかにしたいと考えている。 上記のような目的を意識しながら、本年度も、研究グループメンバーが担当する国々の中等教育地理教科書・資料の入手と、その内容分析について継続した。目次を中心に、一部の教科書については、現地語から英語への翻訳なども継続して行った。これまでに得られた情報によると、教科書については、たとえばシンガポールの地理教科書のように、地球環境問題など先端的で国際的な課題をいち早く取り入れ、ビジュアルに工夫をこらしWEBの情報も積極的に取り入れるなど、日本の地理教育にも参考になる様々な事例が見出された。地誌的な記述内容については、各国とも、自国の事例を中心に取り上げる学年と、世界地誌を取り上げる学年を分けている場合が殆どである。ただし世界地誌については、具体的に取り上げる国や地域にやや違いが認められた。特に、自国周辺の国の取り上げ方に力が入れられている点は、当然と言えば当然かもしれないが印象的である。最終年度は、さらに詳細な地理教科書分析に加え、世界情勢の不安定化に伴う諸外国の治安悪化で授業観察や教員インタビューが実施できていない国においても、可能な範囲で補充調査を実施したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨今の海外諸国における治安状況の悪化もあり、調査対象国における授業見学や教員インタビューを実施できていない国があるが、最終年度の補充調査で、できるだけの現地調査を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまで入手してきた中等教育レベルの地理教科書と関係資料の分析について、最終報告書の作成にむけたまとめの作業を行う。具体的には、各国における初等~中等教育段階の中で、どのタイミングでどのような地理教育内容を教授しているのかについて、対象国間の比較を行うための整理を行う。これらの作業を通して、各国で行われている地理教育、特に中等教育レベルでの具体的な内容について、国別に分析を進め、まとめる。具体的には、モンスーン気候の扱い方、地震災害の扱い方、グローバルな環境問題の扱い方など、各国地誌の記載方法など、いくつかのトピックに絞って、それがどのような形で地理教育に取り入れられているのかを各国横断する形で分析した結果についてまとめたい。加えて、近年の海外諸国における治安状況の悪化もあり、調査対象国における授業見学や教員インタビューを実施できていない国についても、最終年度の補充調査で、できるだけの現地調査を行いたいと考えている。 なお、最終的な成果の取りまとめを視野に、年度後半には、関連する公開シンポジウの開催を予定している。当該のシンポジウムでは、研究代表者・研究分担者はもとより、研究協力者の日本国内現職教員の方々や、その他、当該研究分野に関心をお持ちの研究グループ外の現職教員・研究者の方々にも御協力をいただきながら実施したいと考えている。また、科研費報告書としての公表以外にも、最終成果の取りまとめ内容が広く一般社会で目にふれらるよう、その他印刷部等による公表方法について検討中である。
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Causes of Carryover |
昨今の海外治安状況の悪化等に伴い、当初計画していた各国における授業見学や教員インタビューなどが、少しやりにくい状況となっているため、当初予定よりも海外調査旅費の使用ペースが遅れ気味となり、最終年度にずれ込んだものがあるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に積み残した現地調査に関して、治安状況を見据えながら計画を立て、海外調査旅費として早めに執行したいと考えている。また、併せて、海外現地調査を補完するその他の資料の入手や情報収集ルート(たとえば、研究協力者となり得る留学生からの情報収集)の利用などに、残額の一部を振り分けることも考えている。
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Research Products
(1 results)