2014 Fiscal Year Annual Research Report
アラブ=ベルベル文学の比較地域文化的研究体制の構築
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26300021
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鵜戸 聡 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (70713981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 清子 静岡文化芸術大学, 人文・社会学部, 教授 (30329528)
酒井 佑輔 鹿児島大学, 学内共同利用施設等, 講師 (30632591)
青柳 悦子 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (70195171)
武内 旬子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70236420)
柳谷 あゆみ 公益財団法人東洋文庫, その他部局等, 研究員 (90450220)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マグレブ文学 / ベルベル / シリア / パレスチナ / ヴァナキュラー文化 / 島嶼 / 台湾語 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度はこの研究の初年度であり、今後の計画の下準備を幅広く行うことを企図した。文学研究の本道としてまず資料収集と文献読解に努めつつ、以下のような海外調査・研究報告を実施した。 まず、基本的な作家研究の一環として、アルジェリア・オラン市で行われたアシア・ジェバールに関する国際シンポジウムに二名を派遣、イスラエルの作家週間にも一名を派遣した。また、アジアのヴァナキュラー文化との比較研究の観点から、当初の計画通り台湾の国立成功大学において奄美島唄・台湾語民謡のワークショップを開催し、台湾文学系の教員各位とアルジェリアと台湾の植民地文学やベルベル語運動と台湾母語運動の相似性について懇談した。同じく研究テーマに掲げた「島嶼性」の課題については、インドネシアとミクロネシアで現地調査を行い、上海海洋大学で開かれた東アジア海洋フォーラムにも参加したが、これらで得られた知見をアルジェリア文学研究と接合する試みが、早くも年明けにパリの日本文化会館で開催された国際シンポジウムにおいて発表できたことは大きな成果である。 なお、拠点である鹿児島大学では、イランの劇作家と映画監督を招いて映画と女性に関するワークショップを開き、あわせて鹿児島大学演劇サークルの学生とテヘラン大学演劇学科の学生と合同で劇作ワークショップを実施した(Skype中継)。また、アマゾナス連邦大学の比較文学研究者を招いてブラジルのアラブ系作家に関する研究会も開催した。 また年度末には、海外調査の知見を広く報告するためにニュースレター「ワークワーク通信」を創刊し第一号を発行し、日本マグレブ文学研究会の例会も開催した。さらに韓国マグレブ文学研究会に合同セミナーの開催を打診し、シリアの作家ザカリヤー・ターミルの翻訳もを進めるなど、来年度に向けての準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アラブ世界の広域にわたって情勢が悪化したため、いくつか海外調査の予定の変更を迫られたものの、フランスや、比較対象としていたアジア・太平洋地域において十分な調査や研究報告を行うことができた。また、三年次に計画している国際シンポジウムの準備も順調に進めており、海外の研究者とのコネクションも次第に充実して来ている。研究の内容についても、島嶼性をめぐる理論的な基盤形成が当初の予定よりも順調に推移しており、作家研究の面でも調査で得られた新資料から有意義な知見が得られている。おおむね順調と言ってよい状況と考えられるが、中東情勢の如何によっては一部の調査研究をイランやトルコに振り替える可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
個々の作家・作品研究を遂行しつつ、三年次に計画している国際シンポジウムの本格的な準備段階に入る。手始めに韓国マグレブ文学研究会との合同セミナーを鹿児島大学に実施し、準備会議も兼ねて日本マグレブ文学研究会の例会も2回開催する。ニュースレターの内容を充実させ、成果発信のプラットフォームとしてホームページを準備する予定である。アルジェリアやシリアへの渡航が難しくなったため、海外調査先としては、モロッコ、オマーン、フジャイラ、イランなどを候補にしている。またマグレブ文学翻訳集の準備にも取りかかる。
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Causes of Carryover |
32,248円の繰越金が生じたのは、年度末の出張旅費を多めに見積もっていたことによる端数の残額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
小額であるため、次年度の予算と併せて研究計画に則った使用を行う。
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Research Products
(10 results)