2015 Fiscal Year Annual Research Report
アラブ=ベルベル文学の比較地域文化的研究体制の構築
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26300021
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鵜戸 聡 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (70713981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 清子 静岡文化芸術大学, 人文・社会学部, 教授 (30329528)
酒井 佑輔 鹿児島大学, かごしまCOCセンター, 講師 (30632591)
青柳 悦子 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (70195171)
武内 旬子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70236420)
柳谷 あゆみ 公益財団法人東洋文庫, その他部局等, 研究員 (90450220)
茨木 博史 南山大学, 総合政策学部, 講師 (70734515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マグレブ文学 / アラブ文学 / ベルベル文化 / 比較文学 / アラブ演劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの母体となっている日本マグレブ研究会の活動として、年2回の定例研究会を開催したほか、韓国マグレブ文学研究会より2名の研究者を招聘して、中心拠点である鹿児島大学にて初の日韓共同研究会を開催した。さらに、アルジェリア大使館とも協議しつつ、次年度に開催予定の国際シンポジウムの計画を進め、基調講演者に内諾を取るなど、本研究会全体の国際的な成果発信の準備を大きく前進させた。 個別の研究においても、研究代表者の鵜戸がバルセロナの国際的マグレブ文学研究誌に、分担研究者の茨木がコンゴの研究雑誌にフランス語論文を投稿して受理されており、石川はパリのアルジェリア文化センターにおいて、青柳は日本チュニジア合同シンポジウム(筑波大学)において研究報告を行った。 さらに、一般への研究成果の還元として、研究分担者の青柳によるチュニジアの小説の翻訳公刊(彩流社)および柳谷によるシリアの短編小説集の邦訳(上智大学アジア文化研究所)があり、鵜戸も国際演劇協会日本センターの「紛争地から生まれた演劇7」においてシリアの現代演劇を翻訳し、上演および戯曲の刊行に寄与した。ほかにも、鵜戸がアルジェリア大使館にて、石川が京都大学にて、一般向けの講演を行っている。 また特筆すべきは、13巻に及ぶマグレブ文学コレクションの翻訳刊行の計画を出版社と進め、アルジェリア大使館の協力も得つつ、具体的な作品と翻訳者の選定までを終え、次年度に2冊を出版する目処をつけたことである。 以上のように、当該年度は、個別の研究活動の国際的な成果発表が盛んであったのみならず、共同研究プロジェクトを担う日本マグレブ文学研究会全体の企画が大きく進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中東・北アフリカの政治状況が急速に悪化する中で、当初予定していた現地調査および現地研究者との交流が大幅に制限されたものの、韓国の研究者との交流、出版社や大使館からのサポートを得て、別の方面から大きくネットワークを広げることができた。 個別の研究の進展、とりわけ国際的な成果発表の場を多く得たこともさることながら、翻訳や講演を通じて一般に広く研究成果を伝えるための機が熟してきたことに、文学研究の社会的貢献という観点からも大きな手応えが感じられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従って、年2回の定例研究会を開催するほか、マグレブ文学コレクションの第一弾出版を秋に見据え、特殊用語や訳語の検討を研究会全体で行うことによって、各人の研究成果を糾合してその成果を広く江湖に問う。 また、年度末に東京にてアルジェリア文学に特化した国際シンポジウムを開催し、これまでの研究成果をより専門的な形で公表しつつ、各国の研究者とのネットワークの拡充に努めたい。 政情不安により、中東・北アフリカ地域への渡航を勤務校から制限されている者もいるため、年度末のシンポジウムにむけ、国内での研究の洗練深化に努めることとなるだろう。
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Causes of Carryover |
中東・北アフリカの政治情勢が急速に悪化したため、現地調査を控えるとともに、次年度開催予定の国際シンポジウムの費用として資金に余力を持たせる必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に東京で開催する国際シンポジウムで使用する。
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