2016 Fiscal Year Annual Research Report
少数言語のドキュメンテーションと、エチオピア諸言語のダイナミズムに関する調査研究
Project/Area Number |
26300022
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
乾 秀行 山口大学, 人文学部, 准教授 (10241754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小脇 光男 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (30136030)
池田 潤 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (60288850)
高橋 洋成 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 研究員 (90647702)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 少数言語 / エチオピア / ドキュメンテーション / 言語ダイナミズム / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
1. エチオピアの少数言語のドキュメンテーションを作成するため、アジスアベバ大学のエチオピア人研究者と共同で現地調査を重ね、オモ系(バスケト語、ディメ語)、セム系(チグリーニャ語、マスカン語)、クシ系(アルボレ語、ハディーヤ語)、ナイルサハラ系(ニャンガトム語)の使用状況を記録した動画・音声データ(モノローグ、民話、なぞなぞ)を収集し、ELANを使って転写、語釈、翻訳をつけた。またウェブ公開に向けて、字幕の形で付し、さらにデータの加工に適したELAN/XMLデータと、YouTubeなど動画サイトでの配信に適したデータの両方を作成した。 2. 少数言語がアムハラ語および地域有力言語とどう共存共生していくのか、言語ダイナミズムの分析をするため、少数言語の教科書を入手して母語教育について調査すると共に、セム系グラゲ諸語などの文献データの収集および1990年以降のエチオピア諸言語の文献リストの作成を行った。 3. エチオピア諸言語に関する基本情報データベースと、それぞれの言語に関する研究文献データベースを統合した。また、このデータベースとGISを連携させ、地図上から言語の基本情報・研究文献情報を参照可能にするための作業を継続している。なおGISに関しては、クラウド型のArcGISへの移行に伴い、地図属性の整理と効率化を行った。 4. 社会的貢献活動として、既刊「アムハラ語入門」の改訂増補に向けて、データの整理を行っている。 5. 言語ドキュメンテーション作成方法に関して、動画撮影の基礎技術および実際の解析方法を東京外国語大学で開催されたセミナーに参加したメンバーから研究会で報告を受け、情報共有をした。また、研究成果は電子ジャーナルStudies in Ethiopian Languages(ISSN: 2187-1388)などで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査による動画データは順調に集められている。またELANを使ったドキュメンテーションのデータベース化は、翻訳およびIPAによる転写に関しては順調であるが、記述が十分でない少数言語の語釈に関してはやや遅れている。一方、文献による言語ダイナミズムの研究は、セム系を中心にやや進展したが、他の系統に関しては遅れている。アムハラ語入門の改訂増補版は完成に向けて作業を進めているところである。データベースの基本部分の設計が終わり、各言語の文献データを付加する段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. データの補充及び分析のため、日本人研究者3名、エチオピア人研究者3名によるエチオピアでの現地調査を引き続き行う。 2. 系統別の文献データベースの整備を年度前半に行い、エチオピア人研究者にもデータの補充をしてもらう。 3. 各メンバーからの動画・音声データを管理し、情報公開に向けての準備を行う。 4. 「アムハラ語入門」改訂増補版を公刊する。 5. 各メンバーが集めた言語ドキュメンテーションを報告書の形でまとめる。
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Causes of Carryover |
現地調査を予定していた研究分担者及び研究協力者が都合により調査を取りやめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
エチオピア人研究者と共同で現地調査を行い、言語ドキュメンテーションを追加すると共に、研究成果のまとめに向けてエチオピア人研究者との研究打合せを行うための旅費として使用する。
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