2016 Fiscal Year Annual Research Report
多言語資料の比較分析による敦煌・トゥルファン文献研究の再構築と統合
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26300023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松井 太 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10333709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 篤志 立正大学, 文学部, 准教授 (80324002)
荒川 慎太郎 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (10361734)
橘堂 晃一 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00598295)
佐藤 貴保 盛岡大学, 文学部, 准教授 (40403026)
赤木 崇敏 四国学院大学, 文学部, 准教授 (00566656)
岩尾 一史 龍谷大学, 文学部, 准教授 (90566655)
山本 明志 大阪国際大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70710937)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 敦煌 / トゥルファン / 出土文献 / 多言語 / 現地調査 / 仏教石窟 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,敦煌(中国甘粛省)・トゥルファン(中国新疆ウイグル自治区)および周辺地域から出土した文献資料および当該地域 の諸石窟遺跡に残る銘文資料を解読研究し,その校訂テキストを歴史学的に利用して当該地域の歴史展開の諸相(特に諸文化の接触・ 摩擦・融合)を,総合的な視点から解明することを目的とする。 最終年度となる平成28年度には,前年度に引き続いて敦煌地域の諸石窟(莫高窟・楡林窟など)の現地調査を行なった。具体的には,2015年12月に松井・坂尻・岩本・荒川・橘堂・佐藤・赤木・山本が敦煌莫高窟・楡林窟の諸言語銘文と供養人画像の調査を実施した。 これらの成果は,現在,単行本として刊行する準備作業に入っている。 これと並行して,個々の参加メンバーは個別の調査研究活動に基づく成果を,各種の学術刊行物・学会において提示するとともに,今後の研究の進捗に資する情報を収集した。トゥルファン地域の古代ウイグル社会や仏教・マニ教の接触,唐代(7世紀)からモンゴル帝国時代(13ー14世紀)にまで及ぶ敦煌・トゥルファン地域の仏教徒・景教徒の活動,敦煌におけるチベット支配(8ー9世紀)から帰義軍漢人政権期(9ー11世紀)の歴史的諸相,モンゴル時代のモンゴル語書写文化に対するウイグル語文化の影響などが扱われた(13.研究発表欄参照) また,研究協力者2名を海外調査や国際学会での成果発表のために派遣し(慶昭蓉・ベルリン;笠井幸代・ベルリン),本課題と関係する中国の研究者(アイダル=ミルカマル新疆大学教授)を招へいして,研究情報の交換に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り,敦煌・トゥルファン発現の諸言語文献に対する多面的・言語横断的な分析を進捗させられている。 また,本研究課題の主要な調査対象である敦煌地域の石窟銘文資料や供養者画像について,現地調査の成果を資料集として刊行するための最終的準備段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題により連年の現地調査を重ねることで,貴重な文献学的データを回収できた。しかしながら,本研究課題が対象とする中国地域現存の石窟・遺跡や,中国の研究機関が所蔵する発掘資料などについて,日本人研究者が自由かつFirst Handでアクセスすることは困難である。今後は,中国側の研究者・研究機関と公的な協力関係を構築して,より調査研究の自由度を高める必要がある。また,本研究課題の成果を外国語で発表し,国際的に周知することも肝要である。
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Causes of Carryover |
研究分担者1名が,本務校での新規プロジェクトが12月に発足し,それに関係する業務が多忙化したことから分担金を代表者に返還した。また,研究代表者でも,12月以降に返還分を有意義に使用する計画を講じる時間的余裕がないため,研究期間を延長したものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「11.現在までの進捗状況」に述べたように,現時点では研究成果とりまとめ・刊行の最終段階に入っている。その刊行前の最終確認に要する現地調査,あるいは研究打ち合わせのための国内旅費や物品整備に充当する予定である。
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Research Products
(27 results)