2014 Fiscal Year Annual Research Report
競争優位の源泉としての組織能力-日本・中国・韓国企業の開発組織レベル国際比較
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26301019
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00155441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 駿 富山大学, 経済学部, 教授 (00303206)
徳丸 宜穂 名古屋工業大学, 工学(系)研究科, 准教授 (00387656)
西野 史子 一橋大学, 社会学研究科, 准教授 (40386652)
尹 諒重 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (50585213)
中島 賢太郎 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (60507698)
福澤 光啓 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (80572833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済政策 / 製品開発 / 人材マネジメント / 組織能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度における研究実績は下記の通りである. 1.文献研究ならびに研究会の実施 まず平成26年度前半には,本研究に関連する研究文献(経営学,心理学,人事経済学,組織経済学,組織社会学など)の包括的サーベイを行った.これにより,本研究を遂行する上での作業仮説を明確にすることができた.こうした読み込み作業と並行し,関連分野研究者や実務家のアドバイスを得ながら,研究代表者を中心に日中韓調査で用いる聞き取り調査票の内容を確定した.この作業は,研究会の形で,研究代表者の所属する一橋大学で行った. 2.日中韓企業のエンジニア聞き取り調査 平成26年度後半には,3か国の情報通信技術関連企業のリーダーとエンジニア複数名に対して,聞き取り調査を行った。中国については,都留,西野准教授が現地に赴き下記調査項目について聞き取り調査を行った。まず,こちらが事前に指定した製品を対象として,開発組織リーダーに対しては,(1)製品開発部門の組織構造,開発工程の流れ,製品アーキテクチャ,(2)開発リーダーの仕事(平常時/問題発生時),(3)エンジニアの仕事(平常時/問題発生時),(4)問題発生時の対応,(5)人材マネジメント(インセンティブ付与・能力開発等)について聞き取った.次にエンジニアについては,(1) 製品開発部門の組織構造,(2) 開発リーダーの仕事,(3)エンジニア間の関係,(4)問題発生時の対応,(5)人材マネジメント(働く意欲等)について,エンジニアがどう考えているかを聞き取った.なお,日本と韓国の聞き取り調査については,以前の研究で培った現地企業とのネットワークがあるため,メール等で聞き取り調査を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「おおむね順調に進展している」と評価したのは,平成26年度には,仮説の設定のための文献研究と聞き取り調査に集中することとしていたため,計画通りにじっくり研究を進展させることができたからである. 具体的にいえば以下の通りである.第1に,研究計画の予定通りに,本テーマに関連する文献を包括的に収集し,論文の読み込み作業を行った.第2に,聞き取り調査を日中韓3か国の情報システム企業で行った.ただし,日本と韓国の聞き取り調査については,以前の研究で培った現地企業とのネットワークがあるため,メール等で聞き取り調査を行うことができた.このため,実際に現地に赴く必要があったのは中国だけであった.第3に,文献研究と聞き取り調査の実施を通じて,アンケート調査の仮説と質問の骨格を構成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に実施した聞き取り調査結果を踏まえて,個別企業の事例の一般性を確認すべく,エンジニア個人アンケート調査(各国30社の開発組織150人,3か国計450人)を実施する(日本,中国,韓国).このアンケート調査では,企業が製品アーキテクチャをどう選択しているのかを確認した後に, ①エンジニア間のコーディネーション(協働関係),②問題発生時の解決行動,③エンジニアの労働意欲の源泉,④開発パフォーマンスの4点を主要な軸として質問を設定する.なお,アンケート調査の方法は,上述のように個人を対象とする調査を基本に考えているが,作業仮説の練り直しに伴い,エンジニアの管理者(つまり企業)を対象とするほうが適切であるという可能性も排除せず,柔軟に考えていきたい.
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Causes of Carryover |
基金助成金をほぼ全額,次年度に繰り越した理由は以下の通りである.第1に,研究計画の予定通りに,聞き取り調査を日中韓3か国の情報システム企業で行った.しかし,先にも述べたように,日本と韓国の聞き取り調査については,以前の研究で培った現地企業とのネットワークがあるため,メール等で聞き取り調査を行うことができた.このため,実際に現地に赴く必要があったのは中国だけであり,国内・海外旅費が節約できた.第2に,日中韓3か国の情報システム企業の調査で十分に深い情報が得られたため,あえて他業種で聞き取り調査を行わなかった.これも,旅費の節約につながった.第3に,諸物価の上昇や円安の進行のため,平成27年度に予定されている3か国のアンケート調査費用が,研究調書作成時点で想定したよりも,かなり高まることが予見できたため,費用増に備える必要もあった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には,日中韓3か国企業のアンケート調査を行う.仮説や調査票は,一橋大学での研究会を重ねて慎重に構築・設計していく.このため,調査の実施は,平成27年度末になる.
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Research Products
(27 results)