2014 Fiscal Year Annual Research Report
マニラ首都圏の底辺層の構造と変容―過剰都市からグローバル都市へ
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26301029
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Research Institution | Institute on Social Theory and Dynamics |
Principal Investigator |
青木 秀男 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, その他部局等, 研究員 (50079266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小ヶ谷 千穂 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (00401688)
石岡 丈昇 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10515472)
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
吉田 舞 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, その他部局等, 研究員 (50601902)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グローバル都市 / 都市底辺層 / インフォーマル・セクター / 新労務層 / 新貧困層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はグローバル都市マニラの底辺層の人口、労働、生活、居住の分析を行い、途上国都市における底辺層の再生産構造を解明し、その問題を摘出し、底辺層の行方を予見することを目的とする。本研究1年目の平成26年度には、研究代表者・分担者の5名の共同作業として、次のことを行った。 一つ、本研究の仮説構築のための資料収集・分析と文献研究を行った。それについて、研究協力者のMr. John Lagman及びMs. Malou Abejarに関連論文・資料を提供してもらった。二つ、研究代表者・分担者の研究会を行った。三つ、研究代表者・分担者の3名が、マニラのスクオッター及び街路でのフィールドワークを行った(研究代表者は3回)。分担者2名が日本での在日フィリピン人に対するフィールドワークを行った。四つ、フィリピンより都市問題研究者と貧困女性の支援者を招き、また5人の研究の中間報告会として国際シンポジウム(平成27年1月25日、北海道大学東京駅教室)を行った。その後、フィリピンの研究者・活動家とともに研究代表者・分担者の所属機関(社会理論・動態研究所、北海道大学、横浜国立大学、静岡県立大学)において、研究交流と報告会を持った。五つ、アジア社会学研究会、下層労働研究会、ジェントリフィケーション研究会、市民公開講座(国際社会学)等で研究者・市民に対して本研究の成果を報告した。 これらの活動は、一つ、資料・文献の参照、研究交流等により、研究論文を発表し(雑誌掲載予定を含む)、研究報告を行った。二つ、国際シンポジウム、市民公開講座において研究成果の社会的還元を行った。三つ、現地調査により予備調査を行い、また2年目(平成27年度)の本格的調査の準備(フィールドの決定、調査協力者の確保、インフォーマントのネットワークづくり)が進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の申請段階で予定した作業が、ほぼ予定通り、一部は予想以上にに進展した。一つ、研究主題に関わる全体仮説の形成を行うため資料の分析、文献の参照を行った。これにより、論文執筆や研究報告の中で全体仮説の構想が固まりつつある。二つ、国際シンポジウムを行い、また研究代表者・分担者が全員参加の研究会を行い、個別研究会(下層労働研究会、アジア社会学研究会、ジェントリフィケーション研究会、市民公開講座・国際社会学)を行った。これにより、全体仮説の共有、分担者のサブ仮説の構想、サブ主題・調査相互の調整が進展した。三つ、フィリピンの研究者・活動家よりマニラの都市底辺層に関する最新情報、及び仮説構想に資する研究情報を得ることができた。四つ、マニラと日本での予備的な現地調査を、全員がそれぞれ行った。これにより、仮説の予備的な検証を行い、また、平成27年度に予定している本格的な調査の準備、すなわち、スクオッター3カ所、街路のポイント地点の調査地点が決定され、合わせて、調査協力者及び情報提供者のネットワークづくりが進展した。五つ、本研究の最終年度に予定しているアテネオ・デ・マニラ大学でのシンポジウムの現地協力体制、会場予約等についての準備が進展した。これについて、同大学内のInstitute on Church and Social Issuesの所長以下の全面協力を得ることになった。また、本研究の成果のフィリピンでの出版計画について、出版社や経費等に関する情報を得ることができ、出版の目途がついた。これらすべて、申請段階で予定していたものであり、ほぼ予定通り、一部(最終年のアテネオ大でのシンポジウムや出版計画)は、予定を超えて進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、本研究申請時の計画に基づいて、次のことを行う。一つ、仮説形成のための資料分析、文献参照を続行する。二つ、全員参加の研究会を2度(東京と広島)、個別参加の研究会を逐次行う。そして研究情報の交換を行う。全員参加研究会では、マニラから研究協力者Johnを招き、主題に関する最新情報を報告してもらう。三つ、平成27年度は本格的な現地調査の年である。研究代表者・分担者それぞれが日程を組んで、すでにネットワークを作ったスクオッター及び街路のポイント地点に入り、調査対象者の参与観察と聞取りを行う。海外就労経験者の調査は、スクオッター居住の対象者から対象者へ、手繰りの方法で対象者を探し、参与観察と聞取りを行う。底辺女性の調査は、スクオッター居住の女性の参与観察と聞取りを行う。スクオッター居住者の調査は、とくに強制撤去の危機にある地区、強制撤去を受けた(元)地区に入り、さらに再居住地区まで追跡して、参与観察と聞取りを行う。先住民の調査は、スクオッターと街路、さらに行政のシェルターに入った人々の参与観察と聞取りを行う。ホームレスの調査は、街路のポイント地点と行政のシェルターに入った人々の参与観察と聞取りを行う。これらの調査すべてについて、研究協力者のJohn、Institute on Church and Social IsuesのDr. Anna Marie Karaos及び Malou の全面協力を得ることになっている。また、親密になったスクオッター及びホームレスの数家族の全面協力を得ることになっている。
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Research Products
(17 results)