2015 Fiscal Year Annual Research Report
EU諸国等における学校基盤の包括的健康教育カリキュラムの研究―地域と協働する学校
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26301039
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
赤星 まゆみ 西九州大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50150975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 美香子 東海大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10350240)
ヤマモト ベバリーアン 大阪大学, その他の研究科, 教授 (10432436)
青木 研作 東京成徳大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20434251)
松本 大輔 西九州大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20624498)
大庭 三枝 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (50413539)
吉田 成章 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70514313)
石黒 万里子 東京成徳大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90510595)
高橋 洋行 松山東雲短期大学, その他部局等, 講師 (90593616)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教育学 / 教育方法 / カリキュラム / ヘルスプロモーション / 国際研究者交流 / 健康教育実践 / 教育政策 / ウェルビーイング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランス・イギリス・ドイツ等のEU諸国とカナダについて「学校におけるヘルスプロモーション」に関わる教育政策とその実施過程、及び実験的実践を明らかにするため、海外フィールド調査を行うものである。平成27年度は文献調査と前年度フィールド調査を踏まえて、以下の内容に取り組んだ。 1. 文献研究の実施:先行研究の調査・資料化を進め、フィールド調査の基礎として活用した。また、各国(イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、スイス、オランダ、スコットランド)の学校基盤の健康教育のあり方とそのカリキュラムにかかる政策動向・法規定、実践例について引き続き調査を進め、その成果の一部を発表し、関連学会等で口頭発表や論文投稿を行った。 2. 海外フィールドワーク調査等の実施と総括:①カナダ調査(2015年8月~9月:オンタリオ州とケベック州)、②オランダ調査(2015年9月:現地在住研究協力者)、③フランス調査(2015年6月)、④スイス調査(2015年5月:現地在住研究協力者)⑤2015年6月に開催された”Forum on Integration of Health & Social Programs Within Education Systems in Paris”(ISHN主催)への参加。 3. 全体研究会の実施(①6月14日:大阪大学、②2月19-20日:広島大学): ①では、ドイツ、フランス、スイスの調査報告、ISHN(パリ・グローバル・フォーラム)の参加報告、スコットランドの取組に関する報告、カリキュラム研究の視点からの報告を行った。また、②では、スイス・フランス調査の報告、カナダ調査の報告、オランダ調査の報告、ISHN関連の報告(国際連携)、スコットランド・ドイツ・フランス・スイスの動向に関する報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27 年度の研究計画は、①先行研究調査・フィールド調査に依拠した理論的・政策的検討、②フィールドワークの準備と実施、③研究交流ネットワークの構築、④研究結果の整理・分析・考察という活動に大別できる。それぞれの進捗状況は次の通りであり、本研究は、ほぼ順調に進行していると言える。 ① 文献に基づく理論的・政策的検討はフィールドワークの基礎である。各国の学校における健康教育の概念と歴史的展開、それにかかわる諸理論の分析を深め、様々な健康教育の実践事例を収集した。その成果を2回の全体会合を通じて共有した。 ② フィールドワークの実施を予定通り充実させることができた。Health Promoting School 政策の遂行で先進的なカナダ(ケベック州・オンタリオ州)の調査とフランスの調査を行うとともに、現地在住の研究協力者によって、スイスのヴォー州調査を継続し、オランダ調査を新たに加えた。調査の結果については、2016年2月の全体研究会において報告し、意見を交換した。この省察を踏まえて国別比較研究の鍵概念や比較枠組の再検討を行った。あわせて最終的な研究成果の構想・見通しについて合意した。 ③ ISHN(the International School Health Network)とユネスコ等の国際機関・団体共催の国際的研究大会(パリ市)へ参加し、フィールドワークで築いた研究交流ネットワークを拡大する研究交流と新しい知見や情報資料を得ることができた。 ④ 研究対象国に係る文献調査やフィールド調査等によって収集されたデータに基づいて、学校における健康教育実施のカリキュラムに関する国別比較の方法を検討し、その比較枠組案を作成した。また、文献調査・フィールド調査等から得られた成果の一部は、関連学会において口頭発表を行い、さらに論文として関連学会誌等の学術雑誌に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の計画としては、①研究を充実・発展させる海外フィールドワークの実施と②これまでの海外フィールドワークの結果に基づく研究成果の創出に向けた取組の二点に重点を置いて推進する予定である。そのための方策は以下の通りである。 ① これまでの2年間に行われた調査の成果に鑑みて、可能な限り、未調査の国や再調査の必要性の高い国に絞ってフィールドワークを実施する。不足する情報については、文献資料調査、フィールドワークによって形成された、ISHIN、UNIRES 、INPES、SHE 等のヨーロッパやカナダにおけるHPS 推進の団体・研究機関・研究者等との国際的な研究ネットワークを通じた協力依頼、在仏・在蘭の研究協力者の調査によって補う。また、最終年度には、本研究成果の総括として海外からの研究協力者を招聘して公開研究会を開催する予定であり、本年度はその準備を行う。 ② 今後の課題としては、引き続き、研究対象国に関する文献調査及びフィールド調査の結果を分析・整理すること、各国調査の結果を集約して、学校における包括的健康教育(HPS の推進とその教育)のカリキュラムという見地から国別比較の理論的検討を進め、共通の研究成果検討枠組に沿って資料化・理論化を進めることである。さらに成果を中途と最終の両段階で公表すること(学会発表、学術雑誌への論文投稿、成果報告書作成、招聘公開研究会の実施等)である。なお、研究の成果物として、最終年度に成果報告書を作成するにあたり、理論編の充実のために倫理学的考察と日本の社会的状況の検討を加えること、及び、国別比較の充実のために日本を比較国に加えることの必要性に合意し、3年度目より、新しい研究分担者・連携研究者の参加を得て取り組むこととしている。
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Causes of Carryover |
物品費・旅費ともに、若干、予定額よりも少ない額で抑えることができた。また、今年度は、翻訳・通訳等を依頼しないで済ませたので、謝金を使用しなかった。次年度の調査で活用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究成果の中間まとめ(海外の学会での口頭発表・海外学術雑誌への論文投稿)において、翻訳を依頼する必要が出てくるので、その費用の一部に充当する。
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Research Products
(9 results)