2015 Fiscal Year Annual Research Report
洪水堆積物の放射性核種同定にもとづく沿岸域堆積過程の復原に関する比較流域研究
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26303004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 良慶 京都大学, 防災研究所, 助教 (50464201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 秀雄 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20027296)
平石 哲也 京都大学, 防災研究所, 教授 (20371750)
山崎 秀夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (30140312)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 洪水堆積物 / 沿岸域 / 堆積過程 / 放射性核種 / 比較流域研究 / 土砂収支 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は海岸侵食の根本的な課題である沿岸域の堆積物配分過程,すなわち,堆積物収支の特性を明らかにする方法論を確立することが目的である.ここで,我々が着目する海岸侵食の時間スケールは最近100年程度であり,この期間に堆積した堆積層に時間情報を付加するには,放射性核種が鍵となると考えられる.そこで,チェルノブイリ原発事故で放射性核種の流出が既往研究において確認されている,ローヌ川河口域を調査エリアとして選定し,現地調査を実施した. まず,海底堆積層の採取に先立ち,詳細な海底地形測量を実施し,堆積物採取の効率的な実施に重要な地形データベースを得た.具体的には,2015年10月12日に高分解能フォーキャストマルチビーム測深機(Sonic2024型;R2 Sonic社製)を用いた,海底地形計測を実施した.沖合水深4mから開始し(これ以上浅い領域は調査船が座礁する恐れがあるため),水深50mまでの領域(幅0.5km,長さ1.5km)を1m格子の間隔で計測した. その後,この海底地形データベースをもとに,ローヌ川河口に直交するように採取測線を設定し,水深4m,8m,10m,20m,30m,50mの採取地点を選定した.翌10月13日にピストンコアラーによる定方位・低擾乱な堆積層採取を実施した(水深4m地点で実施するが粒径が粗く,採取不能であった).定方位の採取を計画していたが,処理作業(柱状コアの取り出し作業)の際に,機器の取り回しの条件から方位情報を確保できず,定方位サンプリングではなくなった(H28年度は採取方法の改善を行い,再度定方位採取を試行する予定である).採取した堆積層は1cm毎に分割・サンプリングを行った. 現在,堆積過程の定性的な特性の把握に向けて,上記の採取堆積層の粒度分析,化学分析,帯磁性分析(試行)を行い,研究,分析を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載していた調査エリアの選定を実施し、調査エリアにおける実施許可等のアレンジを依頼できる交流を確立した。また、調査エリアにおける海底地形測量では、最新鋭の測深機を用いて、高分解能な海底地形計測を実施できた。海底堆積層の採取においては、当初、堆積物の大きさが砂質であると、ピストンコアラーによるコア(層状)採取は不可能であると心配されたが、水深4m地点を除いては,約1mの低擾乱なコア(堆積層)が採取できた.現在それらの分析段階であるため,研究計画に照らし合わせておおむね順調に実施できていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度の研究活動では、ローヌ川河口域の流出方向に沿った測線において、海底地形の高精度3次元地形計測を実施した。また、地形測量実施測線に沿って、水深8m、10m、20m、30m、50m地点において、海底堆積層の採取を実施した。 この柱状採取作業時に定方位採取(採取時の方位を特定し、採取コアに方位情報を付加する)を試みたが、処理作業(柱状コアの取り出作業時)に方位を擾乱せざるを得ない状況となった。 そこで、本年度は再度ローヌ川河口域において、処理作業を改良した手法によって、海底堆積層の定方位柱状採取を実施する計画である。 また、これと併せて、昨年度実施した海底堆積試料の化学(放射性核種等)分析、ならびに物理(粒度、配列等)分析を実施する計画である。これらにより、堆積層に時間情報を付加し、堆積速度(堆積物の配分過程)を同定する予定である。
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Remarks |
水塊流動イベント(津波や洪水など)による河口域や湖における堆積物移動過程に関する実験を共同で実施した。
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Research Products
(2 results)