2015 Fiscal Year Annual Research Report
赤道恒温性気候帯において温帯性木本植物が四季咲き化する環境因子の同定
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26304021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細川 宗孝 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40301246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
札埜 高志 兵庫県立大学, その他の研究科, 講師 (40314249)
北村 嘉邦 信州大学, 農学部, 助教 (90578139)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アジサイ / 温帯花木 / インドネシア / 温帯恒温性地域 / 開花 / 花成関連遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.熱帯アジアに植栽されているアジサイの葉組織のITS配列を調査したところ,調査株の約半数がガクアジサイ型,残りの半数はガクアジサイ・エゾアジサイ多型を示した.同様にmatK配列を調査したところ,調査株のほとんどがガクアジサイ・エゾアジサイ・東海以東のヤマアジサイ型を示し,近畿以西のヤマアジサイと韓国のヤマアジサイ型および四国のヤマアジサイ型はみられなかった. 2.兵庫県淡路市に植栽されているアジサイの葉身長を5月から11月にかけて経時的に調査した.プラストクロンインデックスにより,茎頂から葉原基が発生するのは,最も若い完全展開葉の7節上であると推察された.また,葉身の最大長は,その葉の完全展開日よりもおよそ10週間前から8週間前の気温と関係がある可能性が示された. 3.NCBIのSRIデータよりSRR2136639およびSRR2136638をアッセンブルし作成したライブラリーをqueryにして,アラビドプシスFT (gi|240254421), Brassica oleracea FT (gi|919506257), Brassica napus FT (gi|919448800), Medicago truncatura FT (gi|922535082), Arabidopsis thaliana TFL1 (gi|240256493), Fragaria vesca TFL1 (gi|460479045), Glycine max TFL1 (gi|952545297) をsubjectにして, アジサイのFT (HmFT)とTFL1(HmTFL1)をスクリーニングした.HmFTとして3つの配列が,HmTFL1として4つの配列が釣りあがった.データベースよりアジサイおよび他の植物種のFTおよびTFLの塩基配列を取得し,系統解析ソフトMEGA7を用いて系統樹を作成した.これによって、アジサイから複数のFTおよびTFL1遺伝子を同定することが出来た.さらに、タイのチェンライ(標高約800m,北緯19°,東経99°)近辺の3カ所に植栽されているアジサイを調査し、開花性を推測した。タイの高標高地域においてもアジサイの開花性は四季咲き性となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
懸念事項であったアジサイの遺伝子の同定に関し、滋賀県立大学の上町博士の協力を得ることが出来、これによって熱帯アジアのアジサイ細胞質の遺伝子型を明らかにすることが出来た。さらに、核型の調査に向けて33種類のSSR遺伝子座についての研究の準備が整い、28年度の実験に向けたトラブルシューティングがほぼ終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.インドネシアと共同研究契約を締結し、アジサイの資料の送付をしてもらい、葉緑体型DNAの系統解析および核型DNAの系統解析を行うことで、インドネシアの四季咲きアジサイが複数形等に由来していることを明らかにする。 2.日本およびインドネシアにおけるアジサイの四季咲き化について、四季咲き性の形質評価に加えて、FTおよびTFL遺伝子の発現解析を周年にわたって行う。 3.アジサイの茎頂培養を行い(すでに行った)、いったん栄養成長に戻し、インドネシアおよび日本において栽培を行う。もしインドネシアでのみ開花が起こるようであれば、インドネシアの環境要因等を詳細に解析する。
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Causes of Carryover |
インドネシアの共同研究者を増やす予定であり、次年度に旅費が発生するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的には新しいインドネシアの研究者のもとへの調査費・旅費に用いる。
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