2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the history of tomato cultivation based on pathogenic-toxin susceptibility of wild-type tomato accessions
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26304025
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
有江 力 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00211706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 基一朗 鳥取大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00183343)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 野生種トマト / 南米フィールド調査 / 毒素 / 遺伝子プール / 病害抵抗性・感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.野生種トマトフィールド採取株のAAL毒素感受性、Aat罹病性調査:海外研究協力者の協力の下、ペルーフィールド(トルヒーヨ、チクラヨなど)において、さらに野生種のサンプリングを実施、計260アクセションを得た。うち、S. pimpinellifolium(Spi)が219、S. peruvianum(Spe)が40、Solanum sp.が1であった。サンプリングの際、茎枯病の症状を示す個体は見られなかった。切小葉を用いたAAL毒素感受性検定を行った。AAL毒素感受性であるガラパゴス諸島固有野生種S. cheesmaniae(Sch),S. galapagense(Sga)が切小葉検定で感受性であることを確認した。 2.野生種トマトフィールド採取株が持つAsc1遺伝子の多様性とAsc1-m型の分布調査:野生種アクセションからDNAを抽出、PCR法でAsc1遺伝子の増幅を試みたところ、プライマーセットBASC86/87で、28/40アクセションで予想サイズ断片増幅が認められなかった。この他、F10/R10およびF11/R11プライマーセットでは供試全株から予想通りのサイズ断片が増幅された。SchおよびSgaのAsc1領域に、400 bpの欠失が見出された.本欠失とAAL毒素感受性との関連を検証するため,Sgaを片親とするF1、F2集団を得、毒素検定によってこの欠失が,AAL毒素感受性を決定していることを示唆した. 3.S. pimpinellifolium個体の分子系統解析:2.と同様に、野生種アクセション由来のDNAを鋳型に、PCR法でmtDNA領域などを増幅した。 4.S. pimpinellifoliumの生息する地域にAAL毒素を産生するA. alternataが存在するかについてのフィールド調査:野生種生息域からA. alternataを分離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外研究協力者の協力の下、合計200以上のS. pimpinellifolium(以下、野生種)フィールド採取アクセションを得た。とりわけ、分子系統解析等に基づき、ガラパゴスに自生するAAL毒素感受性野生種の祖先がペルー北部に由来すると想定でき、H28年度は、トルヒーヨ、チクラヨ、ピウラなどペルー北部を中心に収集、アクセションを確立できたことは今後の解析の進展に寄与する。また、小葉試験によって毒素感受性とかんがえられるアクセションを選抜できている。さらに、海外研究協力者の合意の元、DNAを東京農工大学への移転が完了、分子生物学的手法による毒素感受性解析を開始できた。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度までに収集した野生種トマトの全アクセションのDNAに基づき、分子生物学的手法による毒素感受性解析を鋭意進め、併せて分子系統解析を行い、毒素感受性の由来およびその多様性を明らかにし、論文として纏める予定である。また、同時に採集したAlternaria alternataについて、毒素生産性および毒素生産を司る遺伝子および遺伝子クラスターの解析を行い、トマトー茎枯病菌の共進化の道筋について解析を進め、成果の公表を行う(1件は2017年4月日本植物病理学会大会、澄川敦馬・永井瞭汰・吾郷亜希・赤木靖典・板井章浩・有江 力・児玉基一朗「トマト野生種におけるトマトアルターナリア茎枯病菌抵抗性遺伝子Asc1の欠失はAAL毒素感受性に関与する」)予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたチリ等への渡航が不要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分子系統解析に依って、ガラパゴスに生息するAAL毒素感受性野生種の祖先がペルー北部に由来することが示唆されたため、チリへの渡航が不要になったため、予定していた予算については採集済みアクセションの分子生物学的解析に使用する予定である。なお、ペルー北部とエクアドル南部は近接しており、野生種の分布は連続しているため、時期よってエクアドルでの採集も検討する。
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Research Products
(7 results)