2016 Fiscal Year Annual Research Report
ガーナ共和国の野生動物・家畜におけるクラミジア分布調査とゲノム多様性
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26304039
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大屋 賢司 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50402219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福士 秀人 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10156763)
中尾 亮 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50633955)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 獣医学 / 細菌 / 衛生 / ゲノム / クラミジア / 家畜 / 野生動物 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
生物多様性の宝庫ともいわれるガーナ共和国に生息する野生動物・家畜において、人や家畜の重要な病原体であるクラミジア分布調査と遺伝子型別を行う。多様な宿主域を示すクラミジアは、自然界では様々な動物に保有されており、国内では実施不可能な、多様な動物を対象とした包括的な実態調査を計画した。 1)ガーナの野生動物・家畜におけるクラミジア保有状況の実態調査 今年度は、9月中~下旬にかけて調査渡航を行った。ガーナ大学附属農場で飼育される鶏(地域種)計100羽の糞便をサンプルとした。同農場に於いては、昨年度の調査でヤギ・ヒツジから一定の割合で低病原性のクラミジア(Chlamydia pecorum)が検出されたが、鶏の検体は全てクラミジア陰性であった。一昨年、郊外の集落で粗放的環境の元飼育されている鶏からは、同一集落で飼育されているヤギと同じC. pecorumが一定の割合で検出された。この際に検出されたC. pecorumは、いわゆる高病原性と呼ばれるクレードに配置されるものが多かった。一方、ガーナ大農場でヤギから検出されたC. pecorumは低病原性株と近い位置に配置された。高病原性株と低病原性株の間では宿主域も違う可能性が示唆された。また、近年、ダニなどの節足動物が保有するクラミジアの存在が報告された。今回の渡航では家畜に付着するダニからもDNAを抽出し、現在スクリーニングを行っている。 2)野外臨床検体のMLSTおよび全ゲノム配列決定 単クローン抗体を用いたクラミジアの濃縮に加え、野外臨床検体から粗抽出したDNA溶液について、宿主由来DNAを選択的に除去することにより、含まれる病原体を検出する精度および感度が向上するという報告がなされこの系の導入も検討した。抗体による濃縮、宿主由来核酸の除去2通りの方法により、MLSTやゲノム解析等、検出した株のより詳細な解析が可能になりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、検出されるクラミジアの遺伝子型と由来宿主の関係を示唆するデータが得られ始めている。 詳細な解析をするための体制も整いつつあり、今年度は最終年度としてまとめのデータが得られる見込みができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の目標は概ね達成できると考えている。そのため、計画にそった実施を基本とする。従来の抗体による濃縮に加え、検体中の宿主DNAの除去による解析精度向上も試みる。また、最終年度であるため、本課題を発展させた展開も踏まえつつ研究を進めていく。具体的には、クラミジアの遺伝子型からのアプローチだけではなく、宿主である家畜の側からのアプローチを視野に入れている。本課題で得られる知見を元に、今後、在来家畜の特性の解明に寄与するような研究を展開できるよう最終年度を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は他プロジェクトも合わせ、総勢4名での調査渡航となった。当初は2名分の旅費の負担を想定していたが、本予算からは1名分の負担となったためである。また、次世代シーケンサーでの全ゲノム解析に代え、今年度はMLSTによる解析を検討したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画では、次年度(最終年度)は、渡航は0~1名であった。これを、2名の渡航に変更する。それにより、当初計画より効率・効果的な調査を実施できる。また、従来の抗体による濃縮に加え、宿主DNAの除去による解析能向上を試みるため、このための消耗品などに使用する。
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