2016 Fiscal Year Annual Research Report
外国人住民の文化的多様性を考慮した高齢期ライフプラン作成のための協働実践型研究
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26310102
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
結城 恵 群馬大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50282405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 啓子 群馬大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60640729)
林 大樹 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (70180974)
佐藤 由美 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80235415)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2019-03-31
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Keywords | ネオ・ジェロントロジー / 外国人住民 / 高齢期 / CBPR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、定住化あるいは帰化を予定する外国人住民が、日本で安全に安心して高齢期に備えるライフプランを設計し実践できるように、外国人住民、日本人住民、関係者による協働型実践研究(Community-based Participatory Research、以下CBPRと記す)を導入することにある。 平成27年度は、本研究調査の拠点である外国人住民が集住するA市で、比較社会学の観点から、外国人住民の視点に立った「高齢期」の理解を図り、文化的・社会的多様性を考慮したCBPR実践の導入を図った。 CBPR実践の導入に必要な<課題を感じとる><メンバーを集め組織を作る><課題を明確にする><計画をつくり実施する>の4つの項目については、実施者側が事前に研究協力者間で平成27年6月~平成28年1月に合計11回の回の検討会を実施した。検討会では、それぞれの項目の実施にあたり、実施者側の前提や予見をできるだけ回避し、協働性の高い場づくりが可能となるようCBPR実践の設計を検討した。 CBPR実践については、平成28年度は、平成27年度に実施した10回の実践についてPDCAサイクルを回し、外国人住民の視点に立ち、外国人住民が主体的に参画できる実践に転換する試みを進めた。その結果、外国人住民の参加率・発言率・提案率ともに高くなり、外国人住民が高齢期に備えるライフプランをより主体的に考えるようになったと判断された。 平成28年度は、外国人住民に対する血圧計測を実践時に実施し、血圧計測が、外国人住民の日常生活での高齢期の備えに向けた意識と行動を再確認する契機となるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CPBR実践の導入については、平成27年度に引き続き、群馬大学が実施する「『生活者としての外国人』のための地域日本語教室」からの協力を得ることができ、実施体制や実施内容の検討も、CBPR実践協力者や外国人住民の参加を得て、継続的に行うことができた。ここで得られた協力により、研究内容の質においても、人的ネットワークの構築においても、効率的・合理的な経費執行においても、当初の予想を超える成果を生み出すことができた。 CBPR実践の過程で、新たに課題になった、外国人住民の意識と行動への効果検証については、血圧計測を導入したが、今後は、血圧計測の「場」における会話分析を行うなど、発展的な課題を抽出することができた。 また、平成28年度に着手した、」外国人住民が高齢期の備えを日本で行う場合に抱く感情のゆれを、会話データで抽出する作業については、ナラティブ分析に必要なサンプル数に達するまで平成29年度も継続して収集することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度も引き続き、群馬大学が実施する「『生活者としての外国人』のための地域日本語教室」からの協力を得られることとなった。これにより、実施体制や実施内容の検討も、CBPR実践協力者や外国人住民の参加を得て、継続的に行うことができ、本CBPR実践に参加する外国人住民を3年間にわたり追跡することが可能となる。本年度は、これまで構築した実施結果を本研究計画の目的に照らし合わせ、総合的に見直し、補完すべき観点・項目がないかを検証し、その結果を調査研究に反映する。また、平成28年度から取り組み始めた、高齢期への備えに対する外国人住民の「ゆれ」の感情について、ナラティブ分析に向けて継続して収集する。
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Causes of Carryover |
物品費については、昨年度に使用した消耗品を再利用するようにして経費を削減したため、減少した。旅費については、CBPR実践にかかる時間が予定よりも多くなり、海外発表あるいは海外訪問調査にかける時間が確保できなくなったため予定を取りやめ、国内旅費の支出のみとなったため減少した。人件費は、CBPR実践への参加者数や実施回数が平成27年度より増えたことに伴い、資料作成や現地調整等に必要な技術補佐員の作業用務が増えたため増加した。その他については、守秘義務の高いデータの保存と共有のために、セキュリティの高いグループネットワーク使用しているが、USB等研究室で共同研究者が責任をもって保管できるデータを移行することにより使用量を少なくすることができたために減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29度は、平成28年度と同様に、不必要な支出を抑え妥当性のある支出に配慮する。また、本年度は、CBPR実践の<活動を評価し普及する>局面を充実させるため、昨年度実施できなかった外国調査・発表の経費と、研究補助者を1名雇用に対する経費を確保し、その支出に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)