2014 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者就業の新たな調整型支援システムの構築に関する総合的研究
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26310112
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
藤原 佳典 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (50332367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 修一郎 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (20230964)
稲葉 陽二 日本大学, 法学部, 教授 (30366520)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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Keywords | 高齢者就業 / 社会参加 / 地域援助 / 生活困窮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は7月末の交付申請後、3か年に亘る研究の初年度として基盤づくりを行った。 研究1の大規模郵送調査は平成27年度の実施を予定しており、本年度は平成25年度実施調査について予備的分析により質問項目の検討を行うと共に、新たな人材(臨時職員)2名の採用を行い実施体制の構築に努めた。 研究2の就労支援施設における求職者縦断調査では、初回調査の回答者が235名に達し、対象者の新規獲得について一旦終了した。追跡調査の回答者数は年度末時点でF1(2週)152名、F2(6週)138名、F3(14週)115名、F4(26週)97名、F5(38週)80名となっている。途中時点での分析結果について日本公衆衛生学会総会、日本応用老年学会大会において報告を行った。 研究3では11月に作業部会のメンバー、運営方針について準備会を開催して合意形成を行い、その後3回の研究会を開催した。学識者として日本大学稲葉陽二教授、ダイヤ高齢社会研究財団石橋智昭研究部長、城西大学塚本成美教授、十文字学園大学佐藤陽教授、人材派遣協会河邉彰男統括研究員の5名より専門的見地からの見解を伺った。内3回は一般セミナー形式で実施した。ダイヤ財団、日本総合研究所、東京しごと財団、板橋区社会福祉協議会、桜美林大学、東京大学からそれぞれ高齢者就業に関心を持つ研究者実務家の参加があった。雇用企業調査においては新たに倫理審査を受け、高齢者求人を出している5社(ユニバーサル企業、ベアーズ、デイサービス邑、国際視覚障害者援護協会、アイデン)に対してインタビュー調査を実施した。 研究4においては地域の関連機関と連携した孤立予防、社会参加を目的と設定し新たに倫理審査を受け、調査モニター42名に対してインテークを実施した。また大田区高齢福祉課の協力を得て蒲田西特別出張所会議室を借り受け、現在11名が継続的に臨床心理士によるカウンセリングを受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究全体の基盤づくりとして、各研究の実施方針や体制構築に腐心したが、倫理審査の通過状況、人員体制を含め計画通り達成している。またそれぞれの数値目標についても順調に達成している。 研究1では本年度単体で必要とされる明確なアウトプットはないが、実施について既に行政と協議を進めており、調査対象者のリストを預かる準備を行っている。 研究2の縦断調査では初回調査の回答者数について既に予定通り確保された。今後追跡途中で予想される脱落者を見込んでも回答者数150名は確保できる見通しである。また途中脱落者数が予想以上になった場合にも新規獲得者を追加できる準備体制がある。 研究3の作業部会では予定通りの回数を実施し、実施・運営方法、人選について十分に協議が行えている。また5名の学識者、専門家のインタビューについても順調に協力が得られた。実施したセミナーでも高齢者就労に関わる実務家、専門家からの参加が得られた。企業調査については就労支援施設協力の下、合同就職説明会で求人企業と直接お会いし、文書で目的を説明し調査受け入れ可否を郵送で回答して頂く依頼の流れを構築した。このフローに従い予定を上回る企業数から協力が得られた。 研究4の個別面接介入については、目標設定、実施手順の検討のため、事前に地域の関連機関としてハローワーク飯田橋U35(若者向け)、ハローワーク大森(生活保護自立支援)、いきいきしごとステーション、大田区高齢福祉課、地域包括支援センター、シルバー人材センター、社会福祉協議会等にヒアリングを行った。その上でそれら地域資源の連携による社会参加支援を目標に設定し研究計画の倫理審査を追加で受けた。介入にあたり郵送で参加希望者を募集する手順を確立し、第一段階で無作為抽出した群、第二段階で長期間求職中の群、第三段階で追跡調査の途中で無職のまま脱落した群への介入を順次行い予定参加者数を確保した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究についても個別に必要となる詳細な検討を積み重ねながら、基本的には全体として当初計画通りのペースで実施予定である。また本研究の研究分担者として新たにシルバー人材センターの研究で著名な実績を持つダイヤ高齢社会研究財団石橋智昭研究部長、城西大学塚本茂美教授の2名の専門家に参加いただき体制の更なる充実を図る予定である。 研究1では既に構築された計画に則り、質問票を構成し郵送調査を実施する予定。平成27年度10月には国勢調査が行われるが、本研究はそれとの混乱を避けその前の期間に実施可能なスケジュールを設定している。 研究2では新規回答者の獲得は行わないが、既に得られた対象者について追跡調査を継続する予定。また順次調査結果の分析を実施して学会等での報告を行っていく。また行政機関、就労支援施設との協議の上で求職者・求人企業に対して調査結果が有効活用される方法について検討する。 研究3では作業部会、雇用企業調査について計画通り実施し、それらをとりまとめて有効活用される効果的な情報発信の検討を行う。 研究4では高齢求職者の心理的危機のあり様について定性的な分析を行い代表的なパターンを抽出し解決手段について検討を行う。個別面接については当初予定通りのペースで実施し量的な分析を行うと共に、今後地域で有効に機能し他地域への普及を促すために生活困窮者自立支援事業等との連携の在り方について検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究4の介入研究において調査対象者の獲得は計画上の目標数を達成しているが、倫理審査及び面接会場の確保に想定以上の時間がかかったため、継続面接の回数(平均)が予想していたよりも少なかったため対象者謝礼額が少なかった。また想定していた面接会場利用料について行政機関の協力により無料で確保することができたため(蒲田西特別出張所会議室)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続面接の回数については次年度に面接対象者を新たに増やして利用する予定をしておりその際の対象者謝礼として利用する予定。また現在無料で使用している面接会場についてはH27年10月の国勢調査のため9月に移転が必要となる。その際の新たな会場設置費用として流用する予定。
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Research Products
(5 results)