2016 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical foundation of stress test simulation based on business transaction network
| Project/Area Number |
26310207
|
|---|
| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
高安 美佐子 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (20296776)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2019-03-31
|
| Keywords | 複雑ネットワーク科学 / 非線形輸送方程式 / 多層マルチ時空間シミュレーション / ビッグデータ / システムロバストネス / レジリエンス / 非線形相互作用 / 災害シミュレーション |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、企業の取引関係のネットワーク構造から企業間のお金の流れを推定する方程式を導出し、現実のデータと整合するようなパラメータを用いて、大規模自然災害などにおける被害の推定をすることが可能となった。次の段階として長期間の未来のシミュレーションを可能とするため、取引ネットワーク構造が時間とともに変化する特性を導入し、企業間のお金の流れの方程式と連結させた。ここでは、企業の倒産、新規参入、企業の合併、そして、企業の分裂の効果を数理モデル化し、ネットワーク構造の時間発展のシミュレーションを行った。新規参入の際には取引相手企業を選択する必要があるが、データからも確認されている取引数に比例する確率で接続する優先的選択の効果を取り入れた。また、合併の場合にも同様に大きな企業を優先する効果が現実のデータから確認されたので、その効果を導入した。シミュレーションの際には、これら４つの効果の発生確率は、現実のデータと整合するようにした。これらのネットワークの時間発展とお金の流れを融合したシミュレーションによって、売上額の分布や成長率のゆらぎなどの経験則も自動的に満たされることを確認した。
この統合モデルの応用のひとつとして、将来の人口減少による企業活動の低下の予測を行った。人口分布のデータと企業データを比較することで、企業数と人口が比例関係にあることが確認されたので、政府の人口予測に基づいて企業数の変化を推定し、企業数が整合するようにシミュレーションのパラメータを調整した。その結果、人口減少の激しい地域では、人口に比例して減少する以上に、企業ネットワークの効果によって経済活動の減衰が強化されることがわかった。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた企業間のお金の流れを記述する方程式の導出は順調に進み、データと整合性の高い結果をだすことができている。目標のひとつだった大規模自然災害のシミュレーションによる経済被害の推定方法も実施することができ、現実のデータとの整合性も問題ない。長期間のシミュレーションのために不可欠なネットワーク構造の時間発展に関してもデータとの整合性の高いモデルを構築することができている。また、これらの成果の一部は、政府が提供している地域経済分析プラットフォームRESASの中でも使用されている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
ネットワーク構造とお金の流れの統合シミュレーションモデルの基盤ができたので、モデルのパラメータをより正確に推定する方法を確立し、データに基づいてモデルパラメータの変化を抽出する。また、これまで、倒産に関してはランダムに確率的に発生するものとして処理していたが、倒産のモデルをデータに基づいて精密化し、統合シミュレーションの中に取り込む予定である。これによって、データとシミュレーションの整合性が高まるものと期待する。
|
| Causes of Carryover |
当初予定していた招待講演の海外出張旅費が主催者側の負担となり経費が浮いた。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外出張の旅費によって使用する予定である。
|
Research Products
(10 results)
