2015 Fiscal Year Annual Research Report
食糧循環と地球温暖化対策の両立を目指す新規な分子標的硝化抑制剤の開発
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26310317
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Research Institution | 国立研究開発法人農業生物資源研究所 |
Principal Investigator |
山崎 俊正 国立研究開発法人農業生物資源研究所, 生体分子研究ユニット, ユニット長 (40360458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 健智 静岡大学, 理学研究科, 教授 (80209121)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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Keywords | 環境調和型農林水産 / 地球温暖化ガス排出削減 / 分子標的硝化抑制剤 / 構造ベース創農薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に開発した蛍光性電子受容体を利用した高感度蛍光ヒドロキシルアミン酸化還元酵素(HAO) 活性測定法を改良して、アンモニア酸化細菌レベルでのハイスループット薬剤スクリーニング法を確立した。本法を利用して既存の硝化抑制剤(30種類)のドラッグリプロファイリングを行い、生菌に対する薬剤活性を平成26年度に取得した新規HAO阻害剤のシード化合物と比較した。その結果、HAO阻害剤シード化合物は市販薬(10種類)よりも高活性であることが確認された。また、HAO酵素に対する活性とアンモニア酸化細菌に対する活性の相関を指標として、HAO阻害剤シード化合物の構造展開を行って構造―活性相関を解析し、HAO阻害剤の構造最適化に有用な知見を収集した。 土壌中のアンモニア酸化細菌としては、これまでbetaプロバクテリア型(betaAOB)のみが報告されていたが、最近になってgammaプロバクテリア型(gammaAOB)が確認されたことを受けて、betaAOBとgammaAOBから精製した2種類のHAOに対してフェニルヒドラジン(betaAOB由来HAOの阻害剤)の阻害活性を比較した。フェニルヒドラジン10 uMでbetaAOB由来HAOの活性は40%まで低下するのに対して、gammaAOB由来HAOの活性はほとんど影響を受けないことが明らかになった。この結果は、betaAOB由来HAOとgammaAOB由来HAOの両方に効果のある広範囲スペクトラムなHAO標的硝化抑制剤を開発する必要性を強く示唆する。そこで、より多くのアンモニア酸化細菌由来のHAOに対して阻害効果を検証するため、新たに3種類のアンモニア酸化細菌からHAOを精製する方法を確立した。このうち、2種類のHAOについては結晶化に成功し構造解析の準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は、農耕地で問題となっている窒素養分の流出や温室効果ガスN2Oの発生の解消に向け、その原因となるアンモニア酸化細菌のHAOを標的とする新規硝化抑制剤を開発することである。本年度は、前年度に取得した基質ミミック型HAO阻害剤のシード化合物について構造―活性相関を解析して構造最適化に目処が立ったこと、広範囲スペクトラムを有するHAO標的硝化抑制剤の開発に向けて新たに3種類の単離菌からHAOを精製する方法を確立することができたこと、さらには、多様な難培養菌を含む土壌レベルでのHAO阻害剤の評価法の開発が進んだことから、当初計画以上に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
X線結晶構造解析と計算科学的手法を駆使して、基質ミミック型HAO阻害剤シード化合物の構造最適化を行い、広範囲スペクトラムを有するHAO標的硝化抑制剤のリード化合物を創出する。
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Causes of Carryover |
本年度までに開発した高感度蛍光HAO活性測定法の特許出願(平成28年1月22日)が完了するまで公表を控えたことから、旅費、論文投稿料において未使用金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
HAO阻害剤候補化合物の活性測定実験にかかる消耗品の購入、および、成果公表等に使用する。
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Research Products
(1 results)