2014 Fiscal Year Research-status Report
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26330008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松林 昭 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (10282378)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オンラインアルゴリズム / ページ移動問題 / 仕事関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
処理すべきデータが1つずつ順々に到着する状況で,データが1つ到着するたびに計算を行なって結果を出力するような計算手順を「オンラインアルゴリズム」と呼ぶ.オンラインアルゴリズムの分野においてよく知られる問題に「ページ移動問題」と呼ばれる問題がある.この問題はネットワークのノードに保持されるページに対するアクセス要求が順々に発生する状況で,ネットワークの負荷を最小化するようにページの保持ノードを計算する問題である.この問題は基本的なオンライン問題の一つとして認識され,長年研究されているが,今でも最適な結果を計算するオンラインアルゴリズムがどのようなものかよく分かっていない. オンラインアルゴリズムの性能は,競合比と呼ばれる,1に近いほど性能が高いことを意味するパラメータで評価されるが,「達成しうる競合比の最小値が3より本質的に大きいか否か」がページ移動問題の根本的な疑問であり,長年にわたる研究にも関わらず解決されていない.この疑問を解決することが今年度の目標である. ネットワークのノード数が3の場合には,「達成しうる競合比の最小値は本質的に3である」ことが研究代表者によって既に明らかにされているが,4ノード以上の場合では不明であった.そこで,4ノードの場合の様子を把握するため,計算機を利用してあらゆる場合を探索し,最小の競合比を計算する実験を行った.さらに実験と並行して,この疑問を数学的証明によって解決することを試みた.その結果,「4ノードでは,どのようなアルゴリズムをもってしても,競合比は本質的に3より大きい」という事実を数学的に証明することに成功した.この事実は,オンラインアルゴリズムが「最適であるか否か」を評価する上で欠かすことのできない極めて重要な知見をもたらす.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標である「達成しうる競合比の最小値が3より本質的に大きいか否か」という疑問の数学的証明による解決に成功した.したがって,研究はおおむね順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度では少ノード数のネットワークについて考えていたが,次年度以降,連続空間,ならびに任意のノード数のネットワークについて,仕事関数の振る舞いを詳細に観察し,解析的な取り扱いを通して最小の競合比を持つページ移動オンラインアルゴリズムを設計することを目指す.
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Causes of Carryover |
購入した電子計算機の価格に変動があったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に加えて使用する予定である.
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