2016 Fiscal Year Annual Research Report
The elucidation of mechanisms of the cell death in SSCs induced by radiation
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26340021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 裕子 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (90540097)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精子幹細胞 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線は生体成分の水に作用して活性酸素(ROS)を産生させ、DNA損傷等の悪影響を引き起こす。この為ROSは生殖細胞に悪影響を及ぼすと考えられてきた。精子幹細胞(SSCs)は精子形成の源となる細胞である。SSCsは個体が一生に亘り自己複製分裂を行い、精子を作り続ける基盤となっている。ROSはSSCsにおいても同様に悪影響を及ぼすと考えられてきた。しかしこれまでの研究においてNox1遺伝子によるROS産生がSSCsの自己複製分裂に必要であることを見出していた。そこで本研究においてSSCsにおけるROSがどのようなシグナル伝達を行い自己複製を促進するのかを解明することを目的とした。その結果ROSを産生する様々な転写因子の中でSSCsの放射線耐性に関わる転写因子(Bcl6遺伝子)を同定した。Bcl6b遺伝子はNox1遺伝子の発現を増加させてROSを産生しSSCsの自己複製に関わる因子である事が分かった。 SSCsにおいてMAPK14を活性化させるとその下流でMAPK7が活性化された。また、SSCsにおいてMapk14またはMapk7遺伝子を活性化させるとNox1遺伝子が誘導されROSが増加した。反対にMapk14またはMapk7遺伝子をノックアウトしたSSCsを精巣内に移植するとその後コロニー数が減少した。更に、インヒビターを用いたスクリーニングを実施する事によりMAPK7が活性化されるとBcl6b遺伝子がNox1遺伝子の発現を増加させてROSを産生する事が分かった。これらの事から本研究においてMAPK14-MAPK7-BCL6B経路がROSの産生を介したSSCsの自己複製に非常に重要な役割を果たす事が分かった。
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