2014 Fiscal Year Research-status Report
既婚女性の就業選択行動と教育費の関係-パネルデータを用いた同時決定性分析―
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26350035
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
李 秀眞 弘前大学, 教育学部, 准教授 (30588926)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育費 / 私費負担割合 / 母親の就業形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の計画に基づき、既婚女性の就業選択行動と教育費の関係について先行研究のレビュー、分析および学会発表を行った。また、分析モデルを構築するためにインタビュー調査(予備調査)を実施した。 本研究の背景には、日本と韓国の教育費の高さがある。具体的に、両国はOECD加盟国のうち教育費、とりわけ私費負担割合が高いことが特徴として言われている。さらに、全教育段階を通じて、家計の教育費に占める私費負担割合は、日本と韓国でそれぞれ約3割、4割であり、OECD加盟国の中で4位と1位に位置する(OECD,2010)という状況がある。それに加え、本研究のテーマに関連する最新事情について資料収集をしたところ、韓国では最近Edu-Poor(教育への投資のため他方面の生活が困窮な状態を指す)という新造語も登場し、教育費への支出が社会的にも議論されている状況が浮かび上がった。今回は、教育費支出の現状を韓国労働パネル2012年(第15次年度)データをもとに確認する作業を行った。上記データから6,733世帯からの情報が得られたが、そのうち、0歳から高校生以下(浪人生含む)の子どもがいる2,114世帯を分析対象とした。分析結果、公教育以外の私教育を利用している割合は分析対象者の約7割強(73.8%)であった。さらに、これらの費用は経済的に負担になるかという質問に対しては、‘非常に負担になる’との回答は394世帯で全体の約4分の1を占めていて、‘やや負担になる’との回答を合わせるとその割合は、約7割に達する結果であった。また、教育費の私費負担割合と母親の就業とはダイレクトな関係は確認できなかった。母親の就業を規定する要因が多様化していることがこのような結果につながったと考えられる。今後、この点を考慮にいれて分析を深めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度には、女性の労働市場参加選択に関する国内外論文のレビュー、家計構造・教育費に関する国内外の論文レビュー等、既婚女性の就業選択行動と教育費の関係についての資料収集、パネルデータ入手後、パネル分析のためのデータセット構築を計画していて、計画どおりに作業を進めることができた。それに加え、パネル分析をするに当たって、データ処理の基礎段階として、単年度データを用いての分析を行った。また、その結果をもとに学会発表をすることができ、学会発表時のコメントやインタビュー調査から得られた意見等を参考に、分析モデルをいくつか立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度の作業の柱は二つである。第1は、H26年度の学会発表論文をもとに、学術雑誌へ投稿し、掲載すること、また、研究テーマに関連する新たな論文を作成し、学会発表および学術雑誌へ投稿、掲載することを目標とする。そのためには、論文を投稿し、掲載されるまでの期間を考慮し、早めに論文執筆に取りかかるようにスケジュールを立てる。第2は、女性雑誌および新聞記事から研究テーマに関わる情報を収集し、量的調査データ分析から得られた知見の解釈の資料として用いる予定である。
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Research Products
(1 results)