2014 Fiscal Year Research-status Report
日本の主婦・母親像の形成―衣生活の変容から考える女性と家族の研究
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26350081
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
山村 明子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (60279958)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 主婦 / 家事 / 良妻賢母 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には(一社)日本家政学会 にて口頭発表を行い、タイトル「イギリス 19世紀末から20世紀初頭にかけての主婦の装い」として、近代に日本の家族観、家庭観に強く影響を及ぼしたイギリス社会の家庭生活、主婦像についてその服飾行動から検証した。ミドルクラスの主婦に求められたもてなしを司る女主人の役割は、その家庭の文化度を測る指標となり、主婦の装いは教養や社交術を表明する重要な役割を果たしていたことを明らかにした。また、国際服飾学術会議のポスターセッションではタイトル「良妻賢母の姿―近代日本の主婦の装い―」として、20世紀初頭(大正初期)の日本における主婦・母親の立場と装いに着目し、服装行動から女性に求められた規範を検討をおこなった。大正初期の主婦は家庭内労働を担う立場となっていたため、その装いは「質素な服装で、家事に励んでいる姿は、却って傍からは立派にみえる。」と記事にあるように、行為と結びつくことで「良妻賢母」を具現化していたことを明らかにした。また、申請時には平成27年度以降に予定していた海外調査を、スケジュール調整がついたため、平成26年9月に実施した。調査先はイギリスのヴィクトリア&アルバート美術館(ロンドン)である。主に所蔵文献資料の閲覧作業を行った。特に1896-1916年にロンドンにて出版された女性雑誌“Lady's Realm"を調査し、女性と家事労働、ファッションに関する記事などを収集することができたことは、今後の研究に大きな示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の初年度にて、課題の切り口である19世紀末から20世紀初頭にかけての日英の主婦の姿、装いの規範などを文献資料から整理することができた。また、スケジュール調整がつき、次年度以降の予定であった海外調査を先んじて実施できたため、この部分に関しては予定よりも前倒しで研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に入手した文献資料を整理分析し、20世紀初頭のイギリスの主婦の行動と装いについて更なる検討を行い、(一社)日本家政学会第34回大会口頭発表にて、成果を報告する予定である。イギリスの20世紀初頭に関する調査分析は概ね計画通り推進できている。一方、日本の大正・昭和の文献資料の調査・検討がまだ不十分であるため、日本近代の服飾史を専門分野とする研究分担者を新たに加え、調査を進める。また、英米の調査についてはさらに新たな文献資料の入手、検討を行い、考察を深めていく予定である。
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Research Products
(2 results)