2016 Fiscal Year Research-status Report
日本の主婦・母親像の形成―衣生活の変容から考える女性と家族の研究
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26350081
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
山村 明子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (60279958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 知子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (80623610)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 良妻賢母 / 主婦 / 明治 / 大正 / 昭和 / 被服費 / 寝衣 / 衣生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は明治末の良妻賢母の様相について、同時期の雑誌『婦人世界』を中心に分析した。西洋からの洋服文化の流入といった物質的な側面だけではなく、服装規範、着装意識といった心理的な側面での西洋からの影響も認めることができた。主婦の装いには良人を悦ばせるためのみならず、他者との交際を勧め、他者を意識した装いを提言されていた。 研究分担者は大正期の主婦がつかさどる家計における被服費について、同時期の雑誌『主婦の友』および『家計調査集成』(多田吉三編、青史社、1991年)所収の大正期の家計調査を中心に分析した。被服費の家計に占める割合を明らかにするとともに、和服と洋服の二重生活の改善が叫ばれた大正期の衣生活を家庭の主婦がどのように計画立て、運用したのかを考察した。 これらの研究成果については(一社)日本家政学会大会(2016年5月於金城学院大学)においてそれぞれが口頭発表『明治末期の良妻賢母の装い』『大正期の家庭における被服費―家計に占める割合と家計管理―』を行った。 また、研究代表者は戦後の家庭生活における寝衣の様相について、一般紙『朝日新聞』『読売新聞』、婦人雑誌『婦人世界』『婦人倶楽部』を中心に分析した。この研究成果についてはThe 27th International Costume Congress (Korean Society of Costume、国際服飾学会、Chinese Textile and Clothing Association 共催、2016年8月於Seoul)においてポスター発表を行った。本発表をもとに主婦の寝衣の変化とニューファミリー・友達夫婦といった家族形態の関わりに着目し論文「第二次大戦以降のナイトウエアから考える主婦と家庭生活」を国際服飾学会に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は2014~2016年度まで20世紀初頭イギリスおよび、明治~大正の主婦の装いと良妻賢母との関わりについて多角的に検討してきた。当初はこれらの結果を独立した論文にまとめる計画を立てていたが、日英の事象を横断的に分析することで新たな見解を述べることができるのではないかと、年度途中で構想に変更が生じた。そのため、研究成果を論文として公表する時期が遅れている。 研究分担者は家計費、被服費に関する資料の収集を継続し、研究成果を論文とし、公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度には研究代表者はこれまでの分析内容を基に、日英の主婦の様相に関する論文を執筆予定である。 (一社)日本家政学会大会(2017年5月於奈良女子大学)では明治から大正時代の主婦の家事労働に着目し、衣生活の変容が家事労働の質や量との関わりから生じていたことを分析する。口頭発表「良妻賢母による衣生活―大正期の家事労働の観点から―」を予定している。また、現代の主婦の装いへの意識変化を娘世代との比較において分析し“Mother and daughter consumption in the modern fashion in Japan”をARAHE2017 (アジア地区家政学会2017年8月於代々木)にてポスター発表を行う予定である。 研究分担者は大正期の家計費における被服費の分析から衣生活における良妻賢母について論文執筆の予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に研究を進めている中で、論文執筆の構想を変更したため、調査の追加が生じ、時間を要した。そのため、当初に計画した論文投稿にかかる経費等の執行ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議における研究成果発表にかかる経費、学会誌投稿にかかる経費等に支出する予定である。
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Research Products
(3 results)