2014 Fiscal Year Research-status Report
脳における味覚の情報処理メカニズムに関する神経生理学的および認知心理学的研究
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26350103
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Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
鈴木 裕一 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (50091707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 まき子 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (50289732)
渡邊 兼行 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (90337212)
菱沼 宏哉 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (20258792)
山城 秋美 仙台白百合女子大学, 人間学部, 講師 (30722970)
宮下 ひろみ 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (20279607)
金澤 寛明 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (40214431)
唐木 晋一郎 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (00363903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 味覚刺激装置 / 味覚相互作用 / 苦味 / 塩味 / 記憶の選択効果 / 食塩摂取量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒトの脳における味覚の情報処理メカニズムの一端を明らかにするため、平行して3つの課題を進めている。すなわち;①「味覚の事象関連脳電位図の測定」②「味の相互作用と味覚認知」、③「言語化による味覚認知への影響」、の3者である。①に関して、事象関連脳電位測定が可能な味覚刺激装置を開発し、現在業者が装置を作成中である。27年度の早いうちには完成し実験に入れると考えられる。②に関しては、舌の左右対称的な2カ所を独立に味覚刺激する方法を開発した。この方法で塩味と苦味の相互作用を予備的に検討したところ、一側に与えられた苦味の感覚は、もう一側に同時に塩味刺激が与えられると弱まることが明らかになった。すなわち塩味による苦味抑制効果は脳での認知過程で起こっている錯覚の一種あることが示唆された。これを踏まえて27年度は、塩濃度や苦味物質の種類を変えて、さらに詳細に検討する。③に関しては、当初の計画を少し変えて、記憶に関する実験を行うことにより味覚認知機構の理解を深めることとし、「選択が味覚記憶に及ぼす効果」に関して検討した。その結果、自分で選択した味試料の方が、強制的に指定された試料に比較しその試料の記憶がやや勝っている傾向が得られた。これらの結果をもとに27年度はさらに試料に工夫を加え、味の記憶における選択の効果についてさらに実験を進めることにより、味覚認知機構を明らかにしていく。その他に、塩味の閾値を調べる方法を改良した。それを用い、27年度は個人個人の塩味の閾値と食塩摂取量との関係を明らかにし、その背景にある塩味の認知機構について手がかりを得ることを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
事象関連脳電位測定が可能な味覚刺激装置は、既製品が高価なため、業者と共同で新たに開発、作成することとした。そのため予定より遅れた。現在作成中でまもなく完成する予定であり、実験を開始できる。
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Strategy for Future Research Activity |
①作成中の味覚刺激装置を使用し、味覚の事象関連脳電位図の測定を行う。 ②味覚刺激後の脳波の周波数変化を解析する。 ③舌上の2カ所を、それぞれ別な試料で刺激し、相互効果を明らかにする。特に苦味と塩味の相互作用、苦味と甘みの相互作用について検討する。 ④より適切な試料(味)を使って、自分で選択した試料の方が、強制的に指定された試料に比較しその試料の記憶が勝っていること、を明らかにする実験を行う。 ⑤塩味について、その閾値や味覚強度の個人差と食塩摂取量との関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
事象関連脳電位測定が可能な味覚刺激装置は、既製品が高価なため、業者と共同で新たに開発、作成することとした。そのため予定より遅れた。現在作成中でまもなく完成する予定であり、実験を開始できる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
味覚刺激装置は1,620,000円と見積もられている。次年度使用額1,409,852円と、次年度配分額の一部を使用する。
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Research Products
(2 results)