2014 Fiscal Year Research-status Report
ニュートリゲノミクスによる自然薯ムカゴの生理的機能の検証
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26350177
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
篠崎 文夏 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 未病改善食品評価法開発プロジェクト, 研究員 (00359647)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニュートリゲノミクス / 食品機能 / 自然薯ムカゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
自然薯ムカゴは皮ごと加熱処理後凍結乾燥し微粉末化して用いた。動物実験はマウス(C57BL/6J、雄、3週齢)を用い、1週間馴化した後群分けを行い、通常脂肪餌、高脂肪餌、および高脂肪餌に加熱ムカゴ粉末を添加した餌(高脂肪ムカゴ餌)を与え、8週間飼育した。餌と水は自由摂取とした。16時間の絶食後、採血し、臓器を摘出した。血液は血漿の生化学成分分析を行い、DNAマイクロアレイ(Affymetrix)によって肝臓の遺伝子発現解析を行った。 8週間の飼育期間中の総摂取エネルギーは各群間に差はなかった。また、高脂肪餌の摂取は通常脂肪餌群よりも体重を有意に増加させた。高脂肪餌群と高脂肪ムカゴ餌との比較では体重に差はなかった。血漿生化学成分分析では、高脂肪餌群および高脂肪ムカゴ群でアラニンアミノトランスフェラーゼが通常脂肪餌群に比べて上昇し、高脂肪ムカゴ餌群は有意ではないが高脂肪餌群よりも低かった。また、肝臓中の中性脂肪量は高脂肪負荷によって通常脂肪群よりも有意に上昇した。高脂肪ムカゴ群は有意ではないが高脂肪群よりも低値を示した。糞中に排出された中性脂肪量は個体差が大きく各群間に有意差は認められなかったが高脂肪ムカゴ群が他群よりもわずかに多く、脂質の排出にムカゴ摂取が影響する可能性が示唆された。肝臓の遺伝子発現は階層的クラスター解析の結果、各群で大まかなクラスターを形成し、肝臓の遺伝子発現傾向は各群で異なっていることがわかった。高脂肪ムカゴ群と高脂肪群で比較し、抽出した変動遺伝子をGOTermで分類した。その結果、中性脂肪代謝やコレステロール代謝など脂質代謝関連遺伝子が変動しており、ムカゴ摂取は高脂肪食摂取による中性脂肪合成の亢進を抑制する方向に作用すると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験を行い、血中生化学成分分析、肝臓および糞中の脂質含量測定を終了した。また、DNAマイクロアレイを用いた肝臓の遺伝子発現分析を行い、データを得た。現在データの詳細な解析を行っており、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
年度と同様にマウス(C57BL/6J、雄)を用い、通常脂肪餌、高脂肪餌、および高脂肪ムカゴ餌を与え2から4週間飼育する。その間、餌と水の条件は自由摂取とする。通常餌から試験餌に切り替えた後、呼吸代謝測定装置(ARCO-2000, アルコシステム)を用いて、単位時間当たりの二酸化炭素排出量および単位時間当たりの酸素消費量を測定する。それらの値を元に呼吸商を算出し、その時消費したエネルギーが炭水化物と脂質のどちらが優位であるかを明らかにする。餌切り替え時、餌を切り替えて2週間後、4週間後で呼吸商を比較する。また、同時にマウスの活動量を運動量測定装置(ACTIMO-100, シンファクトリー)を用いて、活動量との関連を調べる。得られたデータを解析し、時間・体重あたりの脂質消費量、炭水化物消費量や総エネルギー消費等を比較し、ムカゴ摂取のエネルギー消費への影響を明らかにする。
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