2014 Fiscal Year Research-status Report
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26350565
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
染矢 富士子 金沢大学, 保健学系, 教授 (60187903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膠原病 / 全身性強皮症 / 6分間歩行試験 / 心拍出量 / 1回拍出量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は平成26年度計画に基づき膠原病の一つである全身性強皮症の患者について6分間歩行試験中の心機能評価を非侵襲性インピーダンス心拍出量計にて施行した.それに先立ち,健常コントロールとして20-74歳の39名の成人について6分間歩行試験における心機能評価を同インピーダンス法で行い,以後の研究の対照者としてデータをストックした. 全身性強皮症患者の心機能評価および体力の指標としての6分間歩行距離の測定は平成26年度中に30名について施行した.その内,とりあえず平成26年7月から10月までに評価できた11名についてpilot studyとして結果をまとめた.方法は,対象者に非侵襲性心拍出量計であるPhysioFlow Q-Linkの電極6枚を貼付し,6分間歩行試験を施行した.10秒毎に1回拍出量,心拍数,心拍出量,心係数をサンプリングし,安静時,0.5,1,1.5,2,6分のデータを抽出した.統計処理は対象者の区分と経過時間により二元配置分散分析を行った.その結果,安静時での測定値は全身性強皮症患者と健常人で差がなく,6分間歩行試験での循環応答は開始2分までにすべてプラトーとなった.歩行中の1回拍出量の増加は全身性強皮症患者で健常人と比較して有意に少なく,心拍数は逆に全身性強皮症患者で多くなった.心拍出量,心係数は全身性強皮症患者と健常人での差がなかった.以上より,全身性強皮症患者の1回拍出量は安静時で低下がなくても運動中に健常者のような十分な増大がみられず,心拍数で代償すると考えられた. なお,この成果は平成27年5月に開催される第52回日本リハビリテーション医学会学術集会での発表演題として採択されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度計画では,6分間歩行試験中の非侵襲性インピーダンス心拍出量計を用いた心機能検査を約30名の膠原病患者に行うことを予定していた.この点について,まず健常対象者のデータを収集するために,39名の成人の心機能評価を行い,同時に膠原病患者30名についても計画通り初期評価としての心機能評価を行った.また,それぞれ11名についての比較検討も施行し,当初の計画通りに進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
申請した計画通りに今後2年間をかけて,膠原病患者の心機能評価を継続して行いデータを蓄積する.そのデータ数に応じて,心機能に影響を及ぼす身体的因子の検討や経時的変化について解析する.現時点で,平成26年度の研究で膠原病患者において安静時には検出されない心機能の低下が運動時に顕在化することが示されたが,その要因については複数考えられ,症例数が少なくまだ明確になっていない.そこで今後の研究の推進方策として,随時,心エコー所見や肺機能検査などから得られる呼吸循環機能と運動時の心拍出量との間で因子分析を行い,影響因子を確定する.更にはリハビリテーションによる運動療法が心機能や体力に与える効果についても検討を加える予定である.
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