2015 Fiscal Year Research-status Report
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26350565
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
染矢 富士子 金沢大学, 保健学系, 教授 (60187903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膠原病 / 全身性強皮症 / 6分間歩行試験 / 心拍出量 / 1回拍出量 / 肺高血圧症 / 間質性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、まず膠原病患者のコントロールとなる健常者39名の6分間歩行試験における心機能評価を非侵襲性インピーダンス心拍出量計で行ったデータを英論文として発表した(Someya et al. BMC Rec Notes 8:355,2015).更に研究計画に基づき、膠原病患者延べ98名について健常者と同様に6分間歩行試験における心機能評価を施行し、そのうち41名の全身性強皮症患者(女性35名、男性6名、平均年齢54.9歳)と年齢、性別をマッチさせた26名の健常者について結果を比較し、平成28年6月に開催される第53回日本リハビリテーション医学会学術集会での発表演題として採択されている。 その結果を検討したところ、6分間歩行距離と心拍数は全身性強皮症患者と健常者で同等であったにも関わらず、全身性強皮症患者の1回拍出量と心拍出量は安静時、歩行時ともに健常者より有意に低値であった。また、全身性強皮症では安静時1回拍出量は努力性肺活量と、歩行時1回拍出量は努力性肺活量、肺拡散能、6分間歩行距離と正の相関があった。一方、安静時と歩行時において、1回拍出量と心エコーで得られた右室収縮圧や左室拡張障害(E/A、E/E’)との関連性は認められなかった。但し、1回拍出量が歩行中に増加する量は、右心カテーテルで確認された肺高血圧症があると減少することが示された。なお、CTスキャンで確認された間質性肺炎像の有無は1回拍出量に影響を与えていなかった。以上より、全身性強皮症による1回拍出量の低下は安静時、歩行時いずれでも確認され、関連する要因として肺機能の低下があげられ、肺高血圧症も部分的に関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度計画では対象とする患者数を年間30名程度と予定していたが、1年間で延べ69名の膠原病患者について評価できた。その中には、今回結果を分析した全身性強皮症だけでなく、多発性筋炎・皮膚筋炎や混合性結合組織病の患者もおり、また治療効果をみるために再評価した患者も含まれている。 これらの評価結果は順次国内外に発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年6月に横断的研究成果について学会発表することになっており、その内容を英論文として発表する。 また、申請した計画通りに最終年度も膠原病患者の心機能評価を継続して行いデータを蓄積する。現時点では全身性強皮症の横断的研究までできているが、今後は心機能の経時的変化、治療による変化の分析、全身性強皮症以外の膠原病患者のデータ分析を行う。
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