2014 Fiscal Year Research-status Report
内包梗塞モデル動物の作成および梗塞後のリハビリテーションに関する基礎検討
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26350599
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70412161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 修 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00253287)
岡部 直彦 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30614276)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 内包 / 脳梗塞 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
内包梗塞モデルの作成は、以前に実施した光ファイバー法で海馬に梗塞を作成させた技術を適用して実施した。海馬梗塞作製時と同様に、ラットの大脳皮質表面の頭蓋骨を穿孔しておき、尾静脈よりローズベンガル(20mg/kg)を注入し、その後頭蓋骨穿孔部より大脳皮質を経由して内包まで径100μmの光ファーバーを刺入し、ファイバー先端より532nmのLASER光を照射した。光照射によりローズベンガルの光化学反応を誘起し、生じた酸素ラジカルにより血管壁損傷が生じ梗塞が作製される原理である。光ファーバー先端を内包部に到達させることを試みたが、刺入途中に複数の血管を損傷して多量の出血が生じた。出血が生じるとファイバー先端からの光が目的部に照射されるのを妨げるばかりでなく血液中に含まれるローズベンガルに作用して目的部位以外の広範囲に損傷を生じる可能性がある。そこで光エネルギーは小さくなるが組織に刺入する際の損傷が小さい50μm径のファイバーを用いた。出血量は減少したものの、内包に局所的に梗塞を作製するには到らなかった。この出血の問題を回避するため、あらかじめ中空のカテーテル(径200、肉厚40μm)をゆっくり刺入していき血液を内空より吸引除去しながら先端を内包に到達させ、止血が確認されるまで留置しておき、止血後に径100μmの光ファーバーをカテーテル内空より挿入し先端より光照射を行う方法の検討に移行した。 一方、内包梗塞により変性したニューロンの検出を行うため、海馬梗塞モデルにてニューロンダメージ検出を検討した。梗塞発生2日後のラットの脳をパラホルムアルデヒドの潅流により固定した後、厚さ18μmの凍結切片標本を作製し、免疫染色を行った。海馬梗塞モデルは梗塞範囲が微小であるため、TUNEL法では変性ニューロンを有効に検出できず、結果として活性化カスパーゼ-3の免疫染色による検出が最も有効であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内包梗塞を発生させる手法として当初予定していた光ファイバー刺入法では出血による光阻害の問題に直面したため、ファイバー刺入方法をガイドカテーテルを用いた方法に変更して試験中である。よって現在内包梗塞モデルの安定作製には到っていないが、同時に検討していたニューロンダメージの検出方法の検討で、一般的なTUNEL法よりもカスパーゼ3染色の方が定量に有効であることがわかり、内包モデル完成後にはすみやかに細胞死のカウント作業に移行できるよう準備が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはカテーテルを用いた光ファイバー刺入により安定した内包梗塞モデルの作製方法を確立する。ここで、広く使用されている内包出血モデルとの違いを明確にしておくため、組織の酸化ストレスやニューロンのダメージのレベルを組織学的に把握しておく。モデル完成後は、比較対象群としてファイバーの刺入までを行い光を照射しない群を作製し、全身症状などの所見や組織学的検討を含めて内包梗塞モデルの特徴を明確化する。その後全身症状の重篤度をみながらリハビリテーションとしての運動負荷を課し、その影響を確認していく。
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Causes of Carryover |
おおむね計画通りの使用額となったが、1消耗品レベルの次年度使用額(1,121円)が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規設備の導入は不要である。平成27年度の経費は平成26年度の残額(1,121円)と合わせて主に実験動物および色素・抗体・測定キットなどの試薬類を中心とした消耗品費として使用する。さらに、情報収集・成果発表のための学会出張の旅費および参加費としても使用する。
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