2015 Fiscal Year Research-status Report
病態モデルを用いた脳梗塞ならびに認知症の予防介入効果とその作用機序に関する研究
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26350610
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石田 和人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10303653)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 予防 / 運動 / アポリポ蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績概要は次の通りである。本研究プロジェクトでは、運動および食事により、脳梗塞および認知症の発症予防効果を如何に導くことができるのかを病態動物モデルを用いて検証することが大きな柱となっている。そのステップとして次の2点における成果が得られた。 ①新しい脳梗塞マウスモデルの確立 運動による脳梗塞予防効果を検討するためには、再現性の高い脳梗塞モデル動物を確立することが求められる。兵庫医科大学の松山教授が独自に開発された脳梗塞マウスモデルの作成法について、同教授より直接指導を受け、作成のための装置等をセットアップし、作成法を習得した。その上で、本モデルマウスが示す機能的特徴について調べた。まず、本モデルの感覚運動障害を継時的に評価し、主に感覚障害が認められること、その際、大脳皮質体性感覚領域に加え視床後腹側核の障害が認められることを確認した。また、モデル作成2週後以降、抑うつ症状を示し、いわゆる脳卒中後うつ病のモデル動物となりうることを確認した。しかし、本モデルは、前年度用いた中大脳動脈一過性閉塞モデルに見られるような記憶障害は認められないことが分かった。 ②アポリポ蛋白E4ノックインマウスに対する運動効果の検証 アルツハイマー病の危険因子として知られているε4遺伝子(アポリポ蛋白Eの対立遺伝子の一種)を導入したマウスに対し、6週間のランニングホイールによる運動を実施することにより、記憶機能の悪化を軽減する効果が示されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新しい脳梗塞マウスモデルの作成が技術的に容易ではなく、作成技術の習得にやや時間を要した。また、同モデルの機能障害が感覚障害を主とすることから、それに合わせた行動評価解析の方法論を検討することに時間を要した。また、アポリポ蛋白E4ノックインマウスの継代が絶えてしまい、実験の継続が中断している。本件については、別途、ご提供頂く方向で検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究プロジェクトの最終年度であり、若干、予定よりも遅れ気味ではあるが、何とか一定の成果を導くように進めたいと考えている。 ①脳梗塞マウスモデルに対する運動の障害予防効果: 今年度、確立した脳梗塞マウスモデルを用いて、一定期間の運動を実施することで、脳梗塞による障害予防効果を示し、その作用機序について追及したいと考えている。特に、運動がアストロサイトの活性化をもたらすことに着目し、アストロサイトで発現が高まると考えられる虚血誘導因子(HIF-1)の活性化や神経栄養因子の発現などに着目して検討したい。 ②アポリポ蛋白E4ノックインマウスに対する運動効果の検証: 今年度、効果の有用性を示した運動効果について、さらにデータの補強を進め、その効果に影響する要因について、神経栄養因子などに着目して調べ、一定の結論を導く。 ③これまで、運動の効果についての検討がメインであったことから、時間的に可能であれば、食事、特にカロリー制限による脳梗塞および認知症の予防効果についても検討する。
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Research Products
(14 results)