2014 Fiscal Year Research-status Report
変形性関節症におけるAGEの役割:OA発症と関節炎に起因する機能障害に着目して
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26350645
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小澤 淳也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (00435059)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | AGE / 関節 / 走行運動 / 軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節軟骨、靭帯や結合組織などの組織では、加齢に伴い終末糖化産物(AGE)が蓄積される。以前よりAGEと変形性膝関節症(膝OA)との関連が指摘されているが、その証拠を直接示すデータはない。AGEは関節軟骨を硬化させることが報告されていることから、AGEが蓄積した関節への過剰なメカニカルストレスが膝OAを導くと考えた。 予備実験として、ラット膝関節に糖であるD-リボースを膝関節内に投与して、大腿骨の関節軟骨及び関節包のペントシジン(AGEの一つ)をHPLCで測定した。その結果、2.0 molリボース溶液0.1 mlを8週間、2回/週の頻度で投与することで、同量の生理食塩水を投与した対照と比べ、軟骨で699%、関節包で920%に増加した。ヒトの関節軟骨では、80歳で30歳の4倍程度にペントシジンが増加することが報告されており、本条件でのリボース投与により、ヒト高齢者とおよそ同様のAGE蓄積を誘導できたと考え、本実験におけるリボースの投与条件が決定した。 本実験では、ラットの右膝にリボース、左膝に生理食塩水を予備実験で決定した条件で投与し、右膝にAGEを蓄積させたラットに対し、低負荷トレッドミル走行(12 m/minの速度で60 min)を6週間、5回/週の頻度で行った。走行の影響を比較するため、対照として実験群と同様の注射を行い、その後6週間自由飼育した。動物から膝関節を採取し、固定、脱灰後パラフィン包埋した。今後、各種染色を行い、組織学的解析を進め、AGEs蓄積が走行によるメカニカルストレスの感受性に対する影響を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の当初の予定では、適量のAGE蓄積が誘導できるリボース投与条件を決定することであった。さらに、本実験も順調に進行し、組織採取まで終了したことから、当初予定よりも早く進行しているといえる。しかし、予定していた組織学的・免疫組織学的解析を開始できておらず、本実験の目的である、AGE蓄積が走行によるメカニカルストレスの感受性に及ぼす影響を解明するために必要なデータは得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
パラフィン包埋された膝関節の組織学的解析を行う。ヘマトキシリン・エオジン染色切片を作成し、病理学的変化をMankin's scoreで得点化する。関節軟骨基質の恒常性に及ぼす影響を調べるため、サフラニンOファーストグリーン染色及びⅡ型コラーゲンの免疫組織化学を行う。また、TUNEL染色により、アポトーシスが生じた軟骨細胞を検出する。軟骨下骨の変化を検出するため、TRAP染色、ALP染色を行って破骨細胞、骨芽細胞をそれぞれ検出する。これらにより、AGE蓄積がメカニカルストレス感受性の変化を介したOAを惹起させるかを調査する。
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Causes of Carryover |
HPLCによるAGE分析(受託サービス)に依頼したサンプル数が予定よりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物数を追加し、解析するサンプル数を増やす予定。
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Research Products
(2 results)