2016 Fiscal Year Research-status Report
リハ治療効果を脊髄で評価する基盤研究: In vivoパッチクランプ法を用いて
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26350646
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
土井 篤 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (60619675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 恵 熊本保健科学大学, 保健科学研究科, 教授 (10140641)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キャスト固定マウス / 運動機能 / 感覚機能 / 行動評価 / 脊髄後角 |
Outline of Annual Research Achievements |
キャストモデルマウスに関して、キャスト固定期間中に足底部への振動刺激を与えた群(振動刺激群)は、振動刺激を与えなかった群(コントロール群)に比し、キャスト抜去後の自由歩行において総歩行距離と最大歩行速度の値が大きかった。その理由には2つ考えられた。その1番目の理由として、振動刺激群のマウスはコントロール群のマウスに比べ、足関節の他動的な背屈可動性のあることがわかった。また2番目の理由として、自由水泳の結果から振動刺激群のマウスはコントロール群のマウスに比べ、膝関節の自動可動性があり、水泳時の膝関節屈伸時の速度も早いことがわかった。しかしながら、振動刺激群とコントロール群における自由歩行の差に対して、感覚閾値は変わらなかった。その理由として、感覚閾値を測定するために用いた電気刺激の刺激周波数が2000Hzであったことに由来しているのではないかと考えた。そこで感覚閾値に対して振動刺激が効果的であるか否かをより詳細に調べる実験を行った。正常マウスを用いて、後肢の感覚閾値を測定するために、4種類の電気刺激周波数(5 Hz、50 Hz、250Hzそして2000 Hz)を用いた。各々の電気刺激周波数での感覚閾値を測定した後に、同側及び対側後肢足底部に対して2分間の振動刺激を加え、その後15分間感覚閾値を測定した。その結果、2分間の同側及び対側後肢への振動刺激は、少なくとも振動刺激後15分後に感覚閾値を上昇させることがわかった。また更なる定量的感覚検査を確立させるために、マウス覚醒下の前後肢に対して熱刺激を用いて逃避反応を起こる時の熱刺激閾値(温度)を測定する方法にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度まではおおむね順調であったが、2016年4月に起こった熊本地震の影響で、2016年度は研究機器がほとんど使えなかった。そのためにほとんど動物実験を行うことができなかった。そのような理由で、今回科研費Cの延長願いを出し受理していただいた。現在は、再セットアップをほとんど完了し、今年度は昨年度の分を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に行うことのできなかった感覚刺激や運動刺激に対する神経応答をマウス麻酔下の状況で、脊髄後角から記録する単一神経細胞応答のみならず、脊髄後角上での細胞外記録法を併用することで、健側(左)とキャスト側(右)での感覚刺激や運動刺激に対する神経応答を比較することができる。また即時効果としての振動刺激の効果も脊髄レベルで検証する。
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Causes of Carryover |
昨年度は171237円の支出であったことから、一昨年に購入したマウス固定装置とスライサーが影響しているものと考えられる。それが次年度使用額の差額分として生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は論文作成に関する費用、実験に必要な薬剤等々に必要な費用が生じる予定である。
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